フジテレビは7月6日、元タレント中居正広氏(52)と、同局の元女性アナウンサー(以下Aさん)を巡る問題の検証番組「検証 フジテレビ問題 〜反省と再生・改革〜」を放送しました。この問題は、第三者委員会が中居氏による「業務の延長線上における性暴力」と認定した事案について、テレビ局としての対応を検証するものです。番組では関係者の証言が盛り込まれましたが、第三者委員会の報告書と異なり、事案の表現方法が統一されていました。
報告書との表現差異とその背景
問題の発端は2023年6月2日に発生。第三者委員会は今年3月31日に公表した報告書で、WHOの定義に基づき、「業務の延長線上における性暴力」と認定し、被害を把握しながら適切な対応をとらなかったフジテレビ上層部の責任を追及しました。7月6日の検証番組には、港浩一元社長、大多亮元専務といった当時の局幹部が出演。当時Aさんの相談を受けていた佐々木恭子アナウンサーも登場し、「一人の女性が尊厳を傷つけられて、復帰を目指したけども、時間が経てば経つほど、本当に絶望して辞めざるをえなかった」と後悔を語りました。
一方、番組内では、報告書の「性暴力」という表現は使用されず、「当社元社員であるアナウンサーAさんへの人権侵害事案」「弊社元女性アナウンサーAさんの人権が侵害される事案」「タレントだった中居正広氏が女性アナウンサーAさんの人権を侵害する事案」など、「人権侵害」を用いた表現に一貫して変更されていました。番組内での、この言い換えに関する直接的な説明はありませんでした。
この表現変更の背景には、「性暴力」認定を巡る第三者委員会と中居氏サイドの間で続いている“攻防”があると考えられます。中居氏は代理人弁護団を通じ、報告書の「性暴力」認定に反論。一般的に想起される強制性を伴う性的行為に該当する実態は確認されず、性暴力と認定した根拠や証拠の開示を要求。さらに、自身へのヒアリング内容が報告書に反映されていないとも訴えています。委員会は6月2日、二次被害を理由に中居氏サイドとの交渉打ち切りを表明しましたが、中居氏サイドは7月5日にも再び反論し、自身が「一方的なヒアリングによる偏った資料により『性暴力』者と断罪された」として「人権侵害」を主張しています。スポーツ紙記者は、番組での表現変更は、中居氏サイドからの再三の要求がある現状や、番組制作過程で中居氏に話を聞いていないことによる慎重な姿勢が影響した可能性を指摘しています。
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まとめ
フジテレビの検証番組は、第三者委員会の報告書内容を確認しつつ、新たな関係者の証言を盛り込み、事案を検証しました。しかし、「性暴力」という表現を「人権侵害」に変更したことは注目される点です。これは、第三者委員会報告書と中居氏サイドの意見対立が現在も続いている状況を映し出すものであり、今後の展開が注視される複雑な問題であることを改めて浮き彫りにしています。
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