2025年7月、天皇皇后両陛下が国賓としてモンゴルを公式訪問され、国際的な注目を集めました。歴代天皇にとって初めてのモンゴル訪問となった今回の滞在中、両陛下は歓迎式典や晩餐会など、多岐にわたる公務に臨まれました。特に、皇后雅子さまが場面ごとに選ばれた服装は、その洗練されたセンスと、訪問先への深い心遣いが感じられるものであり、広く賞賛されています。本記事では、雅子さまがモンゴル訪問中に披露された印象的なファッションの数々を詳細に解説し、そこに込められたメッセージや敬意について掘り下げます。
空港ご到着:日本の「桜」を思わせる淡いピンクの装い
7月6日、チンギス・ハーン国際空港にご到着された雅子さまは、淡いピンクのセットアップをお召しになっていました。この優しい色合いは、日本の国花である桜を想起させ、柔らかさや女性らしさを際立たせています。帽子やバッグなどの小物はホワイトで統一され、全体として爽やかで清楚な印象を与えました。ゲストとして親しみやすさを感じさせながらも、日本の文化をさりげなくアピールするこのコーディネートは、初日の国際交流にふさわしい選択でした。
モンゴル公式訪問の天皇皇后両陛下、雅子さまの淡いピンクのセットアップ
慰霊碑ご訪問:哀悼の意を表す白のスーツ
8日には、第二次世界大戦後にモンゴルで抑留中に亡くなった日本人を追悼するため、「日本人死亡者慰霊碑」を訪問されました。両陛下は慰霊碑に白い花輪を供え、深く頭を下げて黙祷を捧げられました。この厳粛な場面で、雅子さまがお召しになっていたのは、ホワイトのスーツでした。スーツと帽子にはネイビーのパイピングが施されており、ホワイトとネイビーのバイカラーが、追悼の場にふさわしい落ち着きと品格を醸し出していました。白い花輪と同じホワイトを選ばれたことは、亡くなった方々への深い哀悼の意をファッションに込められたものと拝察されます。
ナーダム開会式:民族衣装を意識したロイヤルブルー
7月11日、モンゴルの国民的祭典「ナーダム」の開会式に天皇皇后両陛下がご出席されました。この重要な行事に際し、雅子さまはモンゴルの国旗の色でもあるロイヤルブルーのワイドパンツとロングジャケットをチョイスされました。このデザインは、モンゴルの民族衣装を意識したものと見られ、訪問先の文化と伝統に対する深い敬意が感じられるものでした。鮮やかなロイヤルブルーは、祭典の華やかさに調和しつつ、雅子さまの存在感を際立たせていました。
大草原での交流:自然に溶け込む爽やかな装い
訪問最終日の7月12日、両陛下は広大な草原で行われた「ナーダム」会場を訪れ、競馬を観戦されました。その後、ホスタイ国立公園では野生の馬をご覧になる機会も設けられました。現地スタッフからの依頼で、この年に誕生した子馬に、天皇陛下は雄の子馬に「友(フレンド)」、雅子さまは雌の子馬に「愛(ラブ)」と名付けられたという心温まるエピソードも報じられました。
この日、雅子さまがお召しになっていたのは、絞り染めの生地と思われるロング丈のジャケットでした。淡い紫色を基調とした立体的な生地には、白、黄色、緑の丸い模様が並んでおり、そのデザインはモンゴルの豊かな自然を想起させました。黄緑色のパンツとの組み合わせは、大草原の壮大な景色に完璧にマッチし、爽やかで開放的な印象を与えました。
雅子さまのファッションが示す深い敬意と心遣い
天皇皇后両陛下のモンゴル公式訪問における皇后雅子さまのファッションは、単なる装いを超えた意味を持っていました。空港到着時の日本の象徴である桜を連想させるピンク、慰霊の場での敬意を表す白、モンゴル文化へのリスペクトを示すロイヤルブルー、そして大草原に調和する爽やかな装い。それぞれの場面に合わせたお召し物からは、雅子さまの卓越したファッションセンスだけでなく、訪問先の文化、歴史、そして人々への深い配慮と敬意が強く感じられました。雅子さまの心遣いあふれるコーディネートは、国際親善の場で皇室の存在感と日本の心を世界に伝える重要な役割を果たしました。