累計70万部を超えるベストセラー『食品の裏側』の著者である安部司氏が、料理家のタカコナカムラ氏と共著で『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』を上梓しました。砂糖や油が大量に使われ、添加物を含む市販のお菓子に不安を感じる人々のため、「無添加×安心×美味しい」「軽食・おかずにもなる」をコンセプトに開発された、112種類の「健康おやつ」を紹介しています。
プロの料理人も注目する「第12回料理レシピ本大賞」では、『食品の裏側』が料理部門、『安部おやつ』がおやつ部門の最終候補作品に選出され、大きな話題となっています。長年にわたり「食の安全性」を追求してきた安部氏が、今回は遺伝子組み換え食品の安全性と、日本における遺伝子組み換え農産物の実態について語ります。
「遺伝子組み換え食品は避けている」意識の高い人の盲点
私は講演会や食育講座を通じて、全国の多くの方々と直接お話しする機会があります。その中で遺伝子組み換え食品についての話題になると、多くの方が「納豆やコーン缶を買うときは表示を確認して避けている」「自分は遺伝子組み換え食品を食べていない」とおっしゃいます。
しかし、残念ながらこれが大きな盲点なのです。私たちは「知らない裏側」で、遺伝子組み換え農産物を含む食品を日常的に食べてしまっている可能性が高いのが現状です。
日本にあふれる「見えない」遺伝子組み換え食品
日本の食料供給は、海外からの輸入に大きく依存しています。特に、多くの加工品や市販のお菓子の原材料となる穀物は顕著です。
例えば、日本のトウモロコシの大部分は輸入されており、その約9割が遺伝子組み換えと言われています。大豆も同様で、9割以上が輸入され、そのほとんどが遺伝子組み換えであると推測されています(バイテク情報普及会などの情報を参照)。
これはつまり、膨大な量の遺伝子組み換え農産物が原料として日本に入ってきていることを意味します。そして、これらの輸入農産物は、サラダ油、異性化糖(コーンシロップ)、デンプン、醤油、味噌など、多岐にわたる加工食品や食品添加物の原料として広く使われています。
市販のお菓子や加工食品の原料としての遺伝子組み換えトウモロコシや大豆
遺伝子組み換え表示は、製品の中に遺伝子組み換えされたDNAやタンパク質が残っている場合に義務付けられるなどの例外規定が多く、また、油や醤油などの加工品は、製造過程でこれらが除去されるため表示義務がない場合がほとんどです。そのため、消費者が商品の表示だけを見ても、遺伝子組み換え農産物由来の原料が使われているかどうかを完全に把握することは極めて困難なのです。
私たちが直面する遺伝子組み換え食品の現実
このように、日本では輸入農産物を原料とする様々な加工品や食品添加物を通じて、意図せず遺伝子組み換え食品を摂取している可能性が高いのです。個別に遺伝子組み換えでない原料を選んでいても、市販のお菓子や多くの加工品の裏側には、遺伝子組み換え農産物が潜んでいるのが現実です。
この見えにくい実態を知ることは、日々の食選びにおいて非常に重要です。