米国務省、1000人超を解雇 トランプ政権下で大規模人員削減

アナ・フェイギー(ワシントン)

アメリカの外交を担う国務省で、1000人を超える職員が解雇されたことが明らかになった。これはトランプ政権が推進する連邦政府職員削減計画の一環であり、11日に実施された。米CBSニュースが入手した解雇通知によると、今回の対象者には一般職員1107人と外交官246人が含まれている。これに先立ち、今年初めには1500人以上の国務省職員が大規模な政府再編計画に基づき自主的に退職していた。相次ぐ大規模な人員削減に対し、国務省の業務遂行能力に支障をきたすとの懸念が広がっている。

大規模人員削減の対象となった部門

CBSニュースの報道によれば、今回の削減では、人口・難民・移民局の入国部門に所属する一般職員のほぼ全員が対象となった。この部門は、アメリカ国内への難民受け入れという重要な役割を担っていた。さらに、アフガニスタンからの退避支援を担当していたアフガン移転支援調整官室の職員も削減対象に含まれている。

職員や抗議者たちの反応

解雇された職員たちが私物を手に国務省のロビーに集まり、建物から去っていく様子を捉えた動画がソーシャルメディアで拡散された。残された職員たちが、拍手で見送ったり、抱き合ったりする姿も見られた。

建物の外には、今回の決定に対する抗議者たちが集結した。「アメリカの外交官たち、ありがとう!」、「私たちはもっと良い扱いを受けるべきだ」といったメッセージが書かれたプラカードが掲げられた。

米国務省前、「外交官ありがとう」プラカードを掲げる女性抗議者 ワシントン米国務省前、「外交官ありがとう」プラカードを掲げる女性抗議者 ワシントン

政権側と批判派の見解

マイク・ポンペオ国務長官(当時)は10日、マレーシアでの記者会見で、今回の一連の動きについて「これは人員削減を目的としたものではない」と説明した上で、「部局が閉鎖されれば、その職務は不要になる。削減されるのは『人』ではなく、そういう『役職』なのだと理解してほしい」と述べた。

一方、上院外交委員会の民主党議員団は声明を発表し、今回の措置を強く非難した。彼らは「国務省の一般職員および外交官数百人を解雇するという決定は、この国の安全保障を損なう」ものだと指摘した。さらに民主党議員たちは、「税金を徹底的に効果的に活用するための、対象を限定した改革は必要だが、今回の措置はそれに当たらない」とし、「イーロン・マスクの失敗に終わった『政府効率化省(DOGE)』の遺産として残る無差別な削減は、費用対効果に優れた形でアメリカ国民に成果を届けるための政府機能を弱体化させる」と批判した。

削減計画の背景

今回の解雇は、トランプ政権による連邦職員削減計画に対して、連邦最高裁が容認する判断を下した数日後に実施された。国務省は今年初め、連邦議会に対し、アメリカ国内を拠点とする職員数1万8700人以上のうち、全体の18%にあたる職員を自主退職および解雇によって削減する意向を通知していた。この大規模な人員削減は、トランプ大統領が選挙公約として掲げていた「政府支出の削減」という政策に基づいている。

また、これに関連して、アメリカの対外援助を担ってきたアメリカ国際開発庁(USAID)がトランプ政権の指示により正式に閉鎖されたことも報じられている。3月時点で同庁事業の80%以上が打ち切られ、7月1日には残りの業務も国務省に正式に統合されていた。

(出典:BBCニュース / Yahoo News Japan)