第107回全国高校野球選手権大会で、部内暴力の情報が交流サイト(SNS)で拡散し、広陵高(広島)が大会中に出場を辞退した問題。「甲子園に出場する価値は計り知れない」との実体験から、連帯責任を負わせることとなった結末は不適当だと訴える元甲子園球児の弁護士がいる。危機管理が専門の高根和也弁護士(40)。日本高野連の制度設計や対応は不十分だとし、抜本的な見直しを提言する。
「不祥事の危機管理として典型的な失敗例だ」。3月に広陵高を厳重注意としたが公表せず、もとより対外試合のない時期に加害生徒を対外試合禁止とした経緯をこうみる。
被害者側の意向をくみつつ入念に聞き取りをし、結論が出れば丁寧に説明する―。こうしたプロセスは危機管理の鉄則だが、被害者側が納得する形になっていなかった可能性があるとする。
高根氏は遊学館高(石川)出身で、2002年夏と03年春に甲子園の土を踏んだ。03年春に3回戦で敗れたのはくしくも、この大会で優勝した広陵高だった。