日韓関係史の専門家、鄭在貞(チョン・ジェジョン)ソウル市立大学名誉教授(74)は、1965年の日韓協定(日韓基本条約)を「否定的に見るのは正しくない」と説く。朴正煕政権が行った当時の日本との国交正常化は「非常に未来志向的」であり、その後の歴史がその正しさを証明したという。中道左派と評価される同名誉教授は、著書『資料と共に読む現代韓日関係史』を最近出版した。
協定は「固定不変」ではなかった
鄭名誉教授は、1965年の日韓協定は四つの協定と25の付属文書から成り、「固定不変」ではなかったと指摘する。実際、過去60年間で在日同胞の法的地位や漁業協定など、多くの分野で絶えず修正と補完が行われてきた事実が見過ごされがちだという。
「謝罪と反省」への認識不足
基本条約で直接言及されなかった植民地支配への「謝罪と反省」は、93年細川首相、98年金大中・小渕共同宣言(文書化)、10年菅首相の表明で示されたが、韓国で十分認識されていないという。また、韓国政府は05年に慰安婦やサハリン残留朝鮮人などの問題は請求権交渉で終結していないとの立場を示し、日本も対応を進めた。
韓日関係史専門家の鄭在貞教授が、日韓協定の改正と補完の重要性を指摘
当時の反対論は「大部分間違っていた」
鄭名誉教授は、1965年当時の反対派(野党、学生など)の主張は、今冷静に振り返ると大部分が間違っていたと認めるべきだと語る。「協定で韓国は日本に隷属し、買弁資本が蔓延して自立経済が抑圧される」との論理は現実と大きく乖離していた。実際の歴史では、韓国は日本の資本と技術を適切に活用し、経済・軍事・文化強国へ跳躍、日本に追い付いたのだ。
朴正煕大統領の先見性
1965年6月の朴正煕大統領特別談話にも注目が必要だ。朴大統領は当時、反対派に対し「どうしてそんなに自信なく、被害意識と劣等感にとらわれているのか」と叱咤したが、これは今から見れば時代を先取りした発言だった。また、日本へも「信用できないと思わせるな」と現在も有効な強い警告を発している。
国交正常化の適切な評価
当時、日本と数十対1の国力格差があった中で、韓国が積極的な国交正常化を進め、これを民主主義と市場経済発展の契機とした点をきちんと評価すべきだ。
鄭在貞名誉教授は、1965年の日韓協定は歴史的事実に基づき、その後の韓国の経済・社会発展に貢献した「未来志向」の選択であったと結論付けている。一部の否定的な見方を問い直し、協定の持つ柔軟性や両国関係の進展を正しく理解することの重要性を強調する。
Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/732b4b162e2822e5e8ab5466acf53556c0c4be23