参議院選挙、女性候補者への卑劣な嫌がらせが横行:殺害予告、車両追尾、そして…

7月20日投開票の参議院議員選挙(参院選)において、女性候補者が車両追尾や殺害予告といった悪質な嫌がらせに直面し、深刻な問題となっている。自民党の杉田水脈氏、国民民主党の牛田茉友氏、参政党のさや氏、無所属の山尾志桜里氏ら複数の候補者が被害を公表しており、その手口は卑劣かつ執拗だ。これらの選挙妨害行為の実態と、候補者たちの対応を追う。

さや氏(参政党)への殺害予告と党全体への攻撃

東京選挙区の参政党・さや氏に対し、7月6日夕方、「誘拐して包丁で刺し殺す」という内容の脅迫メールが事務局に届いた。さや氏はX(旧ツイッター)で、演説に来てくれた支持者との握手が難しくなることやスタッフの苦労が増えることへの悔しさを表明したが、翌日以降も遊説スケジュール公開を続け、選挙活動を継続。党代表の神谷宗幣氏も、自身や党全体が同様の殺害予告やつきまとい、妨害行為、嫌がらせを受けていると明かし、問題が個人に留まらないことを示唆した。

参院選の街頭演説で支持者に語りかける参政党のさや氏参院選の街頭演説で支持者に語りかける参政党のさや氏

牛田氏(国民民主党)への車両追尾と対応

東京選挙区の国民民主党・牛田茉友氏陣営は7日、牛田氏が6日の街頭演説後に乗車した送迎車が、何者かに長時間にわたり執拗に車両で追尾されたと公表した。これ以前にも牛田氏が身の危険を感じる事案が相次いでいたため、陣営は一時的に演説日程の事前公表を停止するという異例の対応を取った。その後、牛田氏は11日のYouTube生配信でこの件に言及。既に警察と陣営双方で警備体制を強化していることを明らかにし、13日からは演説日程の事前公表を再開する方針を示した。対策を講じた上での活動継続となった。

山尾氏(無所属)の連帯と自身の被害

同じ東京選挙区から無所属で立候補する山尾志桜里氏は、牛田氏への事案を受け自身のXで反応。「女性候補者への卑劣な脅しは許せない。国民民主は牛田さんを全力で守ってほしい」と擁護の姿勢を示した。同時に、山尾氏自身も殺害予告を含む嫌がらせを受けていることを明かしつつも、最後は候補者の決断として「正解はありません」「私は日程公表を続けます」と表明し、活動を継続する強い姿勢を示した。

杉田氏(自民党)の街頭での妨害とネット脅迫、被害届提出

比例代表から立候補している自民党の杉田水脈氏は、選挙妨害行為に対して断固たる法的措置を取っている。杉田氏は9日、「被害届を提出しました」と題した投稿を自身のXで行い、街頭演説中に自身に詰め寄る男性が警察官に取り押さえられる動画を公開した。男性は「叩いてないっす」「俺何もやってねーよ」などと叫んでいたという。さらに10日には、「こちらも被害届を提出しました」として、インターネット掲示板への「杉田水脈は殺せば当選できない」という書き込みのスクリーンショットを公開。これも脅迫に当たるとし、山口警察署に被害届を提出したことを報告した。「このような卑劣な脅迫に屈することなく、最後まで戦い続けます!」と決意を述べ、現在も全国での遊説を続けている。

選挙活動への深刻な影響と候補者の決意

今回の参院選で複数の女性候補者が直面した殺害予告や車両追尾といった嫌がらせ、選挙妨害行為は、候補者の安全を脅かす由々しき事態であり、有権者との自由な交流や活発な選挙活動を阻害する深刻な問題である。候補者たちは、警察への被害届提出や警備体制強化などの対策を講じつつも、こうした卑劣な攻撃に屈することなく、国民との対話を求めて選挙戦を戦い抜こうとしている。民主主義を支える選挙において、暴力や脅迫は断じて許されるものではなく、捜査当局による厳正な対応が求められるとともに、選挙期間中の候補者に対する安全確保の重要性が改めて浮き彫りとなっている。

【参考資料】