ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年が経過し、終息の見えない戦況が続く中、新たな展開が注目されています。アメリカのトランプ前大統領は最近、バイデン政権がウクライナへ既に供与している防空システム『パトリオット』に追加供与を行う考えを明確にしました。これはウクライナが長らく求めてきた防衛装備に対するトランプ政権からのゴーサインと見られています。
ウクライナへの防衛装備供与を明言
トランプ前大統領は13日、「ウクライナに、多様で、非常に高度な軍備を送る。欧州が100%負担するべきだ。規模は決まっていないが、防衛手段が必要なのだ」と述べ、ウクライナへの追加的な軍備供与を表明しました。
攻撃兵器含む“重大声明”の可能性
さらに、トランプ前大統領はロシアに関する「重大声明」を発表する意向を示しています。ニュースサイト『Axios』は14日、この声明にはロシア本土への攻撃が可能な兵器の供与が含まれる可能性があると報じました。これが事実であれば、トランプ政権の対ロシア政策がこれまでの姿勢から大きく転換することを意味します。
戦況の激化と和平への期待の裏切り
約2カ月前には、ウクライナとロシアの間で即時停戦に向けた協議が行われ、トランプ氏も期待を寄せていました。しかし、ロシアは停戦に応じるどころか攻撃を激化させています。先月、ロシア軍が攻撃に使用したドローンは約5400機に上り、これは1年前の15倍以上という規模で、民間人の犠牲者も過去最多を記録しました。今月に入ると攻撃はさらに激しさを増し、先週には1日に728機という前例のない規模のドローンがウクライナに向けられています。
ウクライナへの兵器供与について語るトランプ前大統領
プーチン大統領との会談での不満
この間、アメリカとロシアは数回の電話会談を行ってきましたが、今月3日の会談後、トランプ前大統領はプーチン氏との戦争に関する話に「不満だ。本当に不満だ」と述べ、和平交渉の進展が一切なかったことを明らかにしました。
政策転換の要因とされるプーチン氏の発言
Axiosの14日の報道によると、トランプ氏が方針転換を決断した要因の一つは、3日の電話会談でプーチン氏が戦争の激化を明言したことだったといいます。プーチン氏はロシアが領土を拡大するため、今後60日間で再度攻勢を強める意向を示唆したと報じられています。ロシアはウクライナ東部に10万人規模の兵力を集結させ、一部占領している州の完全掌握を目指しているとの指摘もあります。
プーチン氏への不信感
トランプ前大統領は13日、「プーチンは、人にうまいことを言って、舌の根も乾かぬうちに、爆弾を落とす。少々、問題だし、気にいらない」と述べ、プーチン氏に対する不信感を露わにしています。
ロシア経済への圧力強化の動き
アメリカは、ロシアの経済的な生命線ともいえるエネルギー輸出にも狙いを定め始めています。ロシアから石油や天然ガスなどを輸入している国々に対し、500%の関税を課すという案が数カ月前から議論されていましたが、先週から法案作成の作業が急速に進んでいると伝えられています。
まとめ
これらの動きは、トランプ前大統領がウクライナ情勢と対ロシア政策において、従来の姿勢からより強硬な立場へと舵を切る可能性を示唆しています。ウクライナへの攻撃兵器供与の可能性や、ロシア産エネルギーへの高関税賦課といった措置が実現すれば、今後の国際情勢に大きな影響を与えることになります。
参照元
- ニュースサイト Axios
- CNN
- テレビ朝日
- Yahoo News