国産エレキギター「フェルナンデス」破産開始決定

(株)フェルナンデス(埼玉県戸田市)は7月9日、東京地裁より破産開始決定を受けました。負債総額は債権者約60名に対し約7億3000万円。国産エレキギターブランド「FERNANDES」として長年親しまれてきた同社の事業停止は、日本の音楽業界に大きな衝撃を与えています。

「FERNANDES」の軌跡と市場への貢献

エレキギターの他、ベース、アンプ、エフェクターなども幅広く手掛けた「FERNANDES」は、著名アーティストとのライセンス契約を通じて高いブランド知名度を誇りました。製造は外注委託を基本とし、資本関係はないものの関係の深かった(株)大阪フェルナンデスや全国の楽器店への販売、米国など海外への輸出も積極的でした。特に1999年1月期には年間売上高40億円台を記録するなど、日本の音楽シーンを牽引する存在として確固たる地位を築いていました。

国産エレキギターブランド「フェルナンデス」本社の外観。長年の歴史を持つ同社は、2024年7月に事業を停止し、破産開始決定を受けました。国産エレキギターブランド「フェルナンデス」本社の外観。長年の歴史を持つ同社は、2024年7月に事業を停止し、破産開始決定を受けました。

業績悪化と破産に至る経緯

しかし、近年は中古市場の台頭や国内外での競争激化により、同社の業績は大きく悪化しました。カタログ作成や新製品リリースで巻き返しを図るも、売上回復には至らず、2022年1月期には売上高1億6608万円、最終赤字2414万円を計上。さらに、販売低迷に苦しんでいた関係会社の(株)大阪フェルナンデスが2023年4月26日に大阪地裁より破産開始決定を受けたことが、当社への信用を著しく低下させました。こうした状況下で資金繰りが限界に達し、2024年7月に事業を停止。同月に一度は破産を申請したものの、その後取り下げられ、新たに2025年6月に東京地裁へ再申請を行っていました。

関係者によると、「FERNANDES」商標の一部は既に他社に譲渡済みです。破産管財人には粟田口太郎弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業、千代田区大手町1-1-1)が選任されました。長年にわたり国産エレキギター界を牽引し、日本の音楽文化に貢献してきた老舗メーカーの破産は、業界に大きな影響を与えるでしょう。

※(株)フェルナンデス(TSRコード:290966302、法人番号:3011101018547、埼玉県戸田市新曽915、登記上:東京都目黒区緑が丘2-14-16、設立1969(昭和44)年2月25日、資本金2500万円)
※(株)大阪フェルナンデス(TSRコード:570754763、法人番号:2120001072636、大阪市北区)