参議院選挙迫る中、石破首相の応援演説に「逆風」:与党の過半数確保は不透明

今週末に迫った参議院選挙を前に、石破茂首相の応援演説が党内で思わぬ「逆風」に直面しています。通常、首相による全国遊説は与党候補の支持拡大に不可欠とされますが、自民党の支持率低迷が続く中、首相の「応援」が必ずしもプラスに働かないとの見方が広がっています。この状況は、政権与党が直面する厳しい選挙戦を浮き彫りにしています。

石破首相の応援演説に高まる党内の反発

毎日新聞が17日に報じたところによると、自民党の青山繁晴参院議員は16日、大阪で行われた石破首相の応援演説の場に姿を現しませんでした。自民党総裁である首相の遊説に、党の大阪府連会長が同席しないのは異例の事態です。青山議員は同紙に対し、「首相は大阪で遊説したいと話したが、私は真っ正面から反対した」と述べ、石破政権の政策に対する不満を露骨に表明しました。具体的には、「増税があって減税がない石破政権の政策と、中国に甘い政策が自由民主党の支持層の批判を招いている」と指摘し、「石破首相が遊説に来て票が戻るのか」と疑問を投げかけました。この発言は、石破政権の低い支持率が党内にも波及し、与党内の状況がいかに厳しいかを示しています。

大阪で支持者と握手する石破茂首相。参院選の応援演説に逆風が吹く中で活動を続ける様子。大阪で支持者と握手する石破茂首相。参院選の応援演説に逆風が吹く中で活動を続ける様子。

低支持率が影を落とす参院選:与党の過半数確保に黄信号

今回の参院選は、石破政権に対する中間評価の性格を強く帯びています。日本メディアの調査結果からは、連立与党(自民党と公明党)が目標とする過半数議席の確保が不透明であるという予測が多く出ています。任期6年の参議院(計248人)は3年ごとに半数を改選するため、今回の選挙では選挙区から75人、比例代表から50人の計125人が選出されます。石破首相が掲げる過半数議席を確保するには、今回の選挙で50議席を獲得し、従来の議席(75議席)と合わせて過半数とする必要があります。しかし、読売新聞(31~52議席)や朝日新聞(33~51議席)は共に、目標達成は困難であると予測。自民党が今回の選挙で1989年以来の最低議席、比例議席では2010年以来の最低議席に終わる可能性も指摘されています。

「外国の選挙介入」発言の波紋と真意

一方で、今回の選挙では反外国人政策を主張する参政党が注目を集める中、「外国の選挙介入」に関する発言が相次いでいます。青木一彦官房副長官は前日の記者会見で、「一般論」としながらも「偽情報の拡散を含むさまざまな形での影響工作が展開されている事例がある」と述べ、海外の事例に言及。続けて、「我が国もこのような影響工作の対象になっているとの認識のもと、国家安全保障戦略において、偽情報等の拡散を含め、認知領域における情報戦への対応能力を強化している」と説明しました。また、平将明デジタル相も15日の会見で、外国の選挙介入について「一部そういう報告もある」「注意深く見ていく必要がある」と述べました。時事通信は、これらの発言について「具体的な事例や根拠は示されていない。劣勢が伝えられる選挙戦の挽回を図る石破政権側の思惑を指摘する向きもある」と報じ、その政治的背景に疑問を投げかけています。

結論

目前に迫った参議院選挙は、石破政権にとって極めて厳しい試練の場となっています。首相の低い支持率、自民党内の反発、そして与党の過半数確保が危ぶまれる状況は、政権運営における課題を浮き彫りにしています。さらに、「外国の選挙介入」といった国際的な情報戦への懸念も表面化し、選挙戦の複雑さを一層深めています。この参院選の結果は、今後の石破政権の安定性だけでなく、日本の政治情勢全体に大きな影響を与えることとなるでしょう。

参考文献