日産自動車は2025年7月15日、神奈川県横須賀市に位置する追浜工場での車両生産を2027年度末に終了する方針を正式に発表しました。これは、同社の経営再建計画「Re:Nissan」の一環として、国内生産体制の最適化と再編を推進するものです。追浜工場で現在生産されている主力車種「ノート」および「ノート オーラ」は、福岡県苅田町にある日産自動車九州へ生産が移管・統合されます。さらに、日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)に生産委託していた小型商用車「NV200」についても、2026年度に委託生産を終了することが明らかになりました。
追浜工場の歴史と生産移管の詳細
1961年に「ダットサンブルーバード」の生産を開始して以来、追浜工場は日産自動車の基幹工場として長年にわたり稼働してきました。「マーチ」「キューブ」「リーフ」など、これまでに累計1780万台以上の車両を世に送り出しています。現在は「ノート」と「ノート オーラ」の2車種を主に生産しており、敷地面積は約54万7606平方メートル、従業員数は約2400人に及びます。
追浜工場は日産自動車の追浜地区内に位置しており、車両生産以外の機能、例えば総合研究所、テストコース「GRANDRIVE」、衝突試験場、追浜専用ふ頭などは、今回の生産終了後も引き続き事業を継続する方針です。生産終了後の追浜工場の具体的な活用方法については、今後幅広い選択肢の中から最適な決定が下される予定です。また、現在追浜工場に勤務する約2400人の従業員は、2027年度末までは同工場での勤務を継続します。2028年度以降の雇用および勤務に関する方針は、決定次第発表され、組合との協議も開始される見込みです。
日産車体湘南工場における生産委託の終了
日産車体の湘南工場では、これまで商用バン「AD」と「NV200」の生産を日産自動車から受託してきました。「AD」の生産委託は2025年10月に終了することが既に決定していましたが、今回の発表により「NV200」も2026年度に委託生産が終了することになります。
日産車体側は、今回の生産委託終了に対し、「車両生産委託の可能性を模索しつつ、特装車やサービス部品生産をはじめとするサポート事業を担うことも視野に入れ、従業員の雇用を最優先に、あらゆる可能性を検討する」とコメントしています。湘南工場自体の閉鎖については、現時点では言及されていません。
日産自動車追浜工場で生産される「ノート」または「ノートオーラ」の車両イメージ。国内生産体制の再編が進む。
「Re:Nissan」計画と国内生産拠点の統合
日産自動車は、2025年5月に発表した中期経営計画「Re:Nissan」において、2027年度までに世界中の工場数を17カ所から10カ所へ集約・統廃合する方針を掲げていました。今回の追浜工場における車両生産の実質的な終了と、日産車体湘南工場への委託生産の終了決定により、「Re:Nissan」計画における日本国内の車両生産拠点の統合が完了するとしています。
この一連の動きは、日産自動車がグローバルな競争力を強化し、より効率的で持続可能な生産体制を構築するための重要なステップです。国内生産拠点の再編を通じて、同社は今後の自動車産業の変化に対応し、経営基盤の強化を目指します。