トランプ前大統領、エプスタイン文書巡り「捏造」と主張し支持者を「腰抜け」呼ばわり:疑惑の真相と政界の攻防

アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、ジェフリー・エプスタインに関する文書公開を巡り、自らの支持者に対して「腰抜けども」という激しい言葉で批判を展開しました。性的人身売買の容疑で起訴され、2019年に勾留中に死亡した富豪エプスタイン元被告の事件は、長らく陰謀論の温床となっており、特にトランプ氏の主要な支持層は、民主党関係者が不正行為をもみ消したと主張してきました。司法省が最近、エプスタイン元被告が「顧客リスト」を保持していた証拠や、彼が殺害されたとする証拠は存在せず、死因は自殺だったと発表したことで、この論争は新たな局面を迎えています。

エプスタイン事件の背景と右派の主張

ジェフリー・エプスタイン元被告は、未成年者への性的虐待や人身売買の容疑で逮捕され、2019年に拘置所内で死亡しました。彼の死は、右派の間で「エプスタインは顧客リストを保持しており、権力者によって口封じのために殺害された」という陰謀論を強く煽る結果となりました。トランプ前大統領自身も、大統領選挙期間中には、エプスタイン関連の資料を公開すると公約に掲げていました。しかし、2025年7月7日に司法省が「権力者を脅迫する証拠や顧客リストの存在、あるいは他殺の証拠はない」との調査結果を発表したことで、右派の主張とは真っ向から対立し、多くのトランプ支持者から激しい反発を招きました。

トランプ氏の「腰抜けども」発言とその真意

批判の渦中にあるトランプ前大統領は7月16日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、一連の騒動を「ジェフリー・エプスタインの捏造という新たな詐欺だ」と断じました。彼は「私のかつての支持者たちが、こんな『でたらめ』にまんまと引っかかっている」と述べ、彼らを「腰抜けども」と非難し、「私はもう、彼らの支持などいらない!」とまで書き込みました。前日には、エプスタイン文書はジェームズ・コミー元FBI長官、バラク・オバマ元大統領、ジョー・バイデン前大統領による「でっちあげだ」とも主張しています。一方で、エプスタイン元被告がトランプ氏やビル・クリントン元大統領を含む複数の政治家と交友関係にあったことは広く知られており、民主党議員からは「性的虐待で有罪判決を受けたトランプ氏ならば文書を公開しないだろう」との批判の声も上がっています。また、イーロン・マスク氏も、トランプ氏との対立が激化した6月に「エプスタインのファイルにはトランプが含まれている」と発言しました。

共和党上院議員からの反論

7月16日にホワイトハウスでバーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アル・ハリファ皇太子と会談した際も、トランプ前大統領は記者の質問に対し「エプスタイン文書はでっちあげだ」と改めて主張しました。しかし、共和党のトム・ティリス上院議員は同日、ノースカロライナ州のラジオ局WBTで、トランプ氏がかつて文書公開を公約していたことに触れ、「『当選したら資料を公開する』と公約してた人がいたはずです。公開してもらおうじゃないですか」と強く要求しました。ティリス議員は、その結果として「何もなかった」のであれば公約したことを恥じるべきであり、「本当は何かあった」のであれば関係者は収監されるべきだと述べました。トランプ氏がエプスタイン文書について「非常に退屈だ」と発言したことに対し、ティリス議員は「大統領の意見には賛同できません」と反論。「10代の少女たちがプライベートアイランドで大富豪に搾取されるような人身売買が“退屈”だなんて、私は思いません」とし、「それは卑劣な行為だと思うし、関係者やその事実を知っていた人は、全員責任を追及されるべきです。だからこそ資料を公開しろと言っているのです」と、事件の深刻さを強調しました。

トランプ前大統領がバーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アル・ハリファ皇太子とホワイトハウスで会談している様子。エプスタイン文書に関する質疑応答も行われた。トランプ前大統領がバーレーンのサルマン・ビン・ハマド・アル・ハリファ皇太子とホワイトハウスで会談している様子。エプスタイン文書に関する質疑応答も行われた。

今回のトランプ前大統領の発言は、エプスタイン文書を巡る問題が、いまだアメリカ政界、特に共和党内で深い亀裂を生んでいることを示しています。司法省の調査結果が発表されたにもかかわらず、真相究明を求める声は根強く、今後もこの問題が政治的な駆け引きの中で注目され続けるでしょう。

参照元

Yahoo!ニュース – トランプ氏、エプスタイン文書巡り「腰抜けども」と支持者を批判(ハフポスト日本版)