トランプ氏、日本への貿易圧力強化:市場開放と関税25%の脅威迫る

米国と日本の間で貿易交渉が大詰めを迎える中、ドナルド・トランプ大統領は日本に対し連日、市場開放と関税に関する強い圧力をかけています。来月1日に迫る関税率引き上げの期限を前に、トランプ氏は改めて「日本は市場を開放すべきだ」と不満を露わにし、通告通りの25%関税実行の可能性を示唆しています。この動きは、日米間の経済関係に深刻な影響を与える可能性があります。

トランプ大統領が日本市場開放を求める会見で発言する様子。日米貿易摩擦の激化を示唆する。トランプ大統領が日本市場開放を求める会見で発言する様子。日米貿易摩擦の激化を示唆する。

日本への通告:25%関税実行の可能性と市場開放要求

トランプ大統領は16日、「中国や日本とは交渉をしているが、日本はおそらく書簡の内容に従うことになるだろう」と述べ、日本への強い姿勢を維持しています。さらに15日には、「例えば日本が市場を開放するとか、でも日本はそうしません。本当にしようとしません。だから書簡の通りに進めるかもしれない」と発言し、市場開放への強い要求と、応じなければ25%の追加関税を実行する可能性を改めて強調しました。この発言は、日本を貿易問題の「やり玉」に挙げ、具体的な譲歩を迫る狙いがあると考えられます。また、隣国の韓国を引き合いに出し、「韓国は市場を開放するかもしれない」と述べるなど、各国に対する巧みな揺さぶりを続けています。

貿易交渉の現実:インドネシアの事例と高額な要求

関税率通告書簡を公開した国の中で、米国と初めて合意に至ったのはインドネシアです。米国は当初32%の関税を突きつけましたが、最終的には19%に引き下げられました。しかし、この合意にはインドネシアにとって不利な条件が含まれています。インドネシアは、米国産エネルギーを150億ドル、農産物を45億ドル、さらにボーイング製の旅客機を50機購入する義務を負いました。一方、米国からの輸出品には関税がかからないという内容です。この事例は、高く設定された関税を回避するために、各国が「無茶な」要求を受け入れざるを得ない現状を浮き彫りにしています。

日本の切り札と韓国への波及:投資パッケージの行方

石破茂総理大臣は以前、「日本は日本でできる努力を最大限にやっていきます。アメリカに一番投資をしているのは日本」と述べ、米国への投資が日本側の交渉材料の一つであることを示唆しています。しかし、この日本の「切り札」が、別の交渉で使われているとの報道もあります。16日の朝鮮日報によると、トランプ政権は韓国に対し、日本が提案したとされる約60兆円規模の投資ファンドの設立を要求していると報じられています。これは韓国の国家予算の80%を上回る「天文学的な規模」であり、日本の提案が韓国への圧力材料として利用されている実態が明らかになりました。

結論

トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策のもと、日本は市場開放と関税引き上げという二重の圧力に直面しています。インドネシアや韓国の事例が示すように、米国は強硬な姿勢で高額な要求を突きつけており、日本の投資という交渉材料も巧みに利用されています。来月1日に迫る期限を前に、日本政府は国民経済への影響を最小限に抑えつつ、国益を守るための極めて困難な貿易交渉に臨むことになります。この日米間の貿易摩擦は、今後の国際経済秩序にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

参考文献