【ワシントン=大内清】トランプ米大統領は18日、少女らに対する性的目的での人身取引などの罪に問われた米富豪ジェフリー・エプスタイン元被告(勾留中の2019年に自殺)と自身の関係を巡る報道で名誉を傷つけられたとして、米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者2人と、同紙を保有するニューズ・コーポレーションのルパート・マードック名誉会長らを南部フロリダ州の連邦地裁に提訴した。AP通信によると、少なくとも100億ドル(約1兆4800億円)の損害賠償を求める。
同紙は17日、トランプ氏が2003年に、エプスタイン元被告の誕生日祝いとして性的な絵を含む手紙を送っていたなどと報じた。これに対しトランプ氏は18日、交流サイト(SNS)で「(報道は)誤った悪意ある中傷だ」とし、訴訟は「フェイクニュース・メディアの不当な行いに我慢ならないと感じるすべての米国人のため」に起こしたものだと主張した。
トランプ氏とエプスタイン元被告は長年、親密な関係にあったことで知られる。
元被告は富豪仲間や要人らに未成年者を含む女性を斡旋していたとされ、トランプ氏の支持層を中心に、口封じのために殺害されたとの憶測や斡旋相手の名を記した「顧客リスト」の存在が取り沙汰されてきた。
トランプ氏は昨年の大統領選で「当選すればリストを公開する」と約束したが、司法省と連邦捜査局(FBI)は今月、元被告の死因は自殺で「リストも存在しない」と発表。トランプ氏の支持層からは不満が噴出していた。
トランプ氏には、自身と元被告の関係に改めて焦点を当てたWSJに訴訟攻勢を仕掛け、メディアの「犠牲者」として振る舞うことで支持層の求心力を高める狙いがあるとみられる。