ワークマン(東京都台東区)は7月17日、これまでの個人向けフランチャイズ(FC)中心の方針を転換し、法人によるフランチャイズ運営と同一フランチャイジーによる複数店舗運営を9月から許可すると発表しました。この新たな戦略は、同社が抱える人手不足の課題に対応し、特に都市部の大型ショッピングモールにおける店舗展開を加速させることを目的としています。
従来のフランチャイズ方針と変更の背景
これまでワークマンは、「個人の起業支援」「ワークマン経営の『家業』化」「家族での協業」といった理念から、明確には公言しないものの法人フランチャイズを避けてきました。しかし、近年の市場環境の変化と事業拡大への強いニーズが、この方針転換を促しました。具体的には、人手不足による個人フランチャイズ募集の限界、中型・大型ショッピングモールからの出店要請の増加、そして特に新業態「Workman Colors」の売上目標(2億5000万円強)が個人や家族経営では達成困難であるという現実が、法人フランチャイズ解禁の主な理由となっています。
「Workman Colors」による法人FC展開
法人フランチャイズは、2024年2月にリブランドされた新業態「Workman Colors」を中心に展開されます。「Workman Colors」の出店先は、売上高150億円以上の中型または大型のショッピングモール内店舗が中心となります。法人としてフランチャイズに参加するには、他ブランドのフランチャイズ店舗を複数運営した実績があるか、またはショッピングモール内の複数店舗の運営代行経験が求められるなど、高い運営能力が条件となります。
法人フランチャイズで展開される新業態「Workman Colors」の外観と店内
今後の出店計画と戦略の見直し
ワークマンは、2025年前半の半年間で「Workman Colors」を24店新規出店し、6月末時点での全店舗数を102店とすることを目標にしています。今後も年間約40店舗の新規出店を予定していますが、都市部近郊での路面店用地の不足や、大規模な直営モール店(目標売上4億円)の出店余地が限られてきたことから、出店計画の見直しを行いました。
これにより、個人による地方の路面店は当初計画の年間40店から20~25店程度に減少させる一方、法人が運営する都市近郊の大型ショッピングモール内店舗は年間15~20店に増加させる方針です。この戦略転換により、ワークマンはより効率的かつ大規模な店舗展開を目指します。
ワークマンのロゴと「法人FCで拡大路線へ」の見出し
まとめ
ワークマンの法人フランチャイズ解禁と多店舗運営の許可は、同社が持続的な成長と市場の変化に対応するための重要な事業戦略転換を意味します。人手不足の解消と都市部の主要な商業施設への積極的な進出は、今後のワークマンの店舗網拡大とブランド力強化に大きく貢献することが期待されます。この新たな展開により、ワークマンは小売業界におけるさらなる存在感を示していくでしょう。
参考資料
- ITmedia ビジネスオンライン