日本海の“熱帯化”が進行中か?北方限界線近くでアオザメ捕獲、専門家が警鐘

7月17日、韓国江原道高城の大津港沖で体長70センチ、体重10キロのアオザメがレジャー釣り船の釣り糸にかかり捕獲されました。驚くべきは、この海域が北方限界線(NLL)からわずか10キロの冷水域に位置する日本海最北端である点です。本来、熱帯・亜熱帯の海域に生息するアオザメの出現は、日本海の海洋生態系が“熱帯の海”へと変貌している可能性を示唆し、懸念が高まっています。

冷水域でのアオザメ出現:異例の状況

このアオザメを釣り上げた60代の男性は、「重みがあり大物だと思ったが、まさかアオザメが上がってくるとは」と当時の驚きを語っています。アオザメは、その攻撃性の高さで知られるサメの一種です。さらに、7月7日には江陵市安木海水浴場の沖合3キロでも、これまた攻撃性が高いとされるヨシキリザメが確認されており、船の周囲を遊泳した後、浜辺方向へ泳ぎ去ったと報告されています。これらの大型捕食者が、これまでの生息域とは異なる冷水域で相次いで発見されていることは、海洋環境の大きな変化を物語っています。

アオザメが釣られた瞬間:日本海で捕獲された体長70cmのアオザメアオザメが釣られた瞬間:日本海で捕獲された体長70cmのアオザメ

温暖化の指標となる魚種と大型捕食者の北上懸念

サメだけでなく、バショウカジキやクロマグロといった温暖な海に生息する魚種も、日本海沖で次々と確認されています。これらの魚は、海水温上昇の影響を受けて生息域を北上させていると考えられています。そして、これらの魚を主な餌とするホホジロザメのようなさらに大型の頂点捕食者の北上も懸念されており、日本海の海洋生態系全体のバランスに影響を及ぼす可能性が指摘されています。

専門家が指摘する「亜熱帯型への生態系再編」

こうした日本海の劇的な変化について、海洋生態学の専門家である群山大学のチェ・ユン教授は、「プランクトンから頂点捕食者まで、全体の生態系が亜熱帯型に再編されつつある」と警鐘を鳴らしています。教授は、これは単なる一時的な海水温上昇に留まらず、日本海の海洋生態系そのものの構造が根本的に変わりつつあることを意味すると強調しました。この「熱帯化」現象は、海洋環境、漁業、さらには沿岸域の安全性にも長期的な影響をもたらす可能性があるため、継続的な監視と研究が求められます。

結び

日本海におけるアオザメやヨシキリザメといった攻撃的なサメの出現、そして温暖な海域の魚類の増加は、海洋環境の劇的な変化、特に「熱帯化」が進行している明確な兆候です。専門家による「生態系全体の亜熱帯型への再編」という指摘は、この問題の深刻さを浮き彫りにしています。今後の海洋生態系への影響や、人々の安全に対する潜在的なリスクについて、引き続き警戒し、情報収集を続ける必要があります。

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