aespaの紅白歌合戦出場に波紋:日中関係と「きのこ雲」ランプ騒動の行方

年末の風物詩である『第76回NHK紅白歌合戦』に、韓国ガールズグループaespa(エスパ)の初出場が発表されたものの、現在、その出場を巡って波紋が広がっている。日中間の緊迫した情勢に加え、メンバーのニンニン氏による過去のSNS投稿が「原爆を想起させる」として批判の的となり、NHKや制作サイドは難しい対応を迫られている状況だ。

日中関係の緊張とaespa出場への期待

NHKの山名啓雄メディア総局長は、11月19日の定例会見で、日中間の情勢を考慮しつつも「(aespaに)出場していただけるだろうと思っています」と期待を表明した。高市早苗首相のいわゆる“台湾有事”発言以来、日本と中国の関係は緊張状態にあり、この状況が思わぬ形で紅白歌合戦に影響を及ぼしている。韓国出身のカリナとウィンター、日本出身のジゼル、そして中国出身のニンニンという多国籍メンバーで構成されるaespaは、中国で高まる“排日”運動の煽りを受け、出場が危ぶまれるとの懸念がNHK内部でくすぶっていた。

ニンニン氏の「きのこ雲」ランプ投稿が物議

しかし、状況をさらに複雑にしたのは、日中関係とは別の側面からの批判だった。ネット上では「aespaを出場させるな」という声が高まり、紅白出場停止を求めるオンライン署名活動には、11月20日時点で8万筆以上が集まっている。この動きの背景にあるのは、aespaの紅白初出場発表直後に掘り起こされた、ニンニン氏による2022年5月のSNS投稿だ。ファン向けアプリに「可愛いライトを買いました、どうですか?」というコメントと共に投稿された写真には、原子爆弾投下時に発生する「きのこ雲」を彷彿とさせるデザインのランプが写っていた。これが「原爆を意識した投稿ではないか」と疑われ、日本の視聴者から不適切だとの批判が噴出している。

第76回NHK紅白歌合戦での役割が注目される女優の綾瀬はるか第76回NHK紅白歌合戦での役割が注目される女優の綾瀬はるか

「戦後80年企画」と芸能界の反応

この騒動に対し、ベテラン芸能リポーターは「タイミングが悪すぎました」と指摘する。過去には、韓国グループBTSのメンバーが“きのこ雲”がプリントされたTシャツを着用して問題視され、謝罪の上で音楽番組への出演を見送った事例もある。これらは日本における原爆に対する強い感受性や、歴史的背景への理解不足が原因とされる。特に今年は「戦後80年」という節目の年であり、改めて原爆の恐ろしさや被爆者の悲しみがクローズアップされている。紅白歌合戦でも「戦後80年企画」が練られているとも報じられており、その演出を含めて女優の綾瀬はるか氏が抜擢されたとも囁かれている。

aespaの紅白出場を巡る騒動は、国際情勢、アーティストの過去の言動、そして日本の歴史的・文化的感受性が複雑に絡み合った結果と言えるだろう。NHKがどのような最終判断を下すのか、そしてそれが年末の国民的番組にどのような影響を与えるのか、注目が集まっている。