長年にわたり世界の電気自動車(BEV)市場を牽引してきた日産リーフが、2025年6月、待望の3代目としてその姿を世界に現しました。初代、2代目と続いた親しみのある5ドアハッチバックのスタイルを一新し、現代のニーズに応えるクロスオーバースタイルへと大胆な変貌を遂げた「新型リーフ」は、まさにEVの新たな標準を築く先駆者としての役割を果たすことが期待されています。この革新的なモデルは、技術的進化とデザインの融合により、持続可能なモビリティの未来を強く示唆しています。
EVのパイオニアが第3世代へと進化
日産は、初代モデルの登場から15年間で世界累計約70万台のリーフを販売し、単一車名で3世代にわたるEVを継続した唯一の自動車メーカーとしての地位を確立しました。今回発表された第3世代の新型リーフは、「誰もが快適に扱える、新たなEVのスタンダード」を目標に掲げています。
その外観は、アリアの弟分とも言える流麗なクロスオーバースタイルへと刷新され、効率性を追求したデザインが特徴です。特に注目すべきは、北米・日本仕様でCd値0.26、専用タイヤとドアミラーを採用する欧州仕様ではCd値0.25という驚異的な空力性能を実現している点です。これにより、走行時の空気抵抗を最小限に抑え、エネルギー効率の向上に貢献します。
新型リーフは、日産が開発したEV専用プラットフォーム「CMF-EV」を採用。搭載されるバッテリーは、エネルギー密度と急速充電性能が飛躍的に向上しています。150kWの急速充電器を使用すれば、わずか14分で最大250kmの走行が可能となるなど、利便性が大幅に向上。バッテリー容量は52kWhと75kWhの2種類が用意され、75kWhバッテリー搭載グレードでは最大航続距離600km以上を誇り、長距離移動における不安を軽減します。
進化したエネルギーマネジメントと走行性能
新型リーフは、車両全体の冷熱システムを一括制御する画期的なエネルギーマネジメントシステムを導入しています。これは、普通充電時に車載充電器から発生する熱を利用してバッテリーを温め、寒冷時における回生性能の低下を防ぐとともに、バッテリーの熱をエアコンに活用するなど、発生する熱エネルギーを最大限に有効活用することで、全体的な高効率化を実現します。
さらに、カーナビゲーションシステムと連動し、走行ルートの負荷に応じてバッテリー温度を最適にマネジメントする「ナビリンクバッテリーコンディショニング」も新たに採用され、バッテリー性能を常に最適な状態に保ちます。
パワーユニットには、モーター、インバーター、減速機を一体化した新開発の「3in1」構造のパワートレーンを搭載。これにより、ユニット全体の容量を10%削減しつつ、モーター最大トルクを4%向上させました。出力は52kWhグレードが174hp(約176ps)/35.2kgm、75kWhグレードが214hp(約217ps)/36.2kgmとなっており、力強くスムーズな加速を提供します。日産独自のモーター制御技術と新採用の高剛性モーターマウント(従来比75%の振動低減)により、車内の静粛性も大幅に向上し、上質な乗り心地を実現しています。
運転支援技術も進化しており、前走車の減速に合わせてスムーズにブレーキを制御し、停止までをサポートする新技術「インテリジェントディスタンスコントロール」の採用により、より安全で快適なドライブを支援します。
日産新型リーフ(3代目)のクロスオーバースタイルを示すサイドビュー
先進技術と発売時期
新型リーフは、ボタン一つでガラスの透明度を調整できる「調光パノラミックガラスルーフ」など、随所に先進技術が散りばめられています。これらの機能は、ドライバーと同乗者双方に快適で未来的な体験を提供します。
発売時期に関しては、北米市場では2025年秋、そして日本国内では2025年内の発売が予定されており、世界中のEV市場に新たな旋風を巻き起こすことが期待されます。日産新型リーフは、単なる移動手段を超え、持続可能な社会の実現に向けた日産のコミットメントと、未来のモビリティのあり方を体現する一台となるでしょう。
情報源: ベストカー編集部 (初出:『ベストカー』2025年7月26日号)