韓国豪雨:キャンプ場土砂崩れで犠牲者増加、安全管理と返金問題が浮上

韓国京畿道(キョンギド)を中心に発生した豪雨による被害は深刻さを増しており、特にキャンプ場での土砂崩れにより死者・行方不明者が増加しています。災害現場での捜索活動が続く中、韓国国内のキャンプ施設における安全管理体制の不備や、悪天候時のキャンセルに関する返金トラブルといった構造的な問題が改めて浮き彫りとなっています。

豪雨被害、行方不明者の捜索続く

7月21日、京畿道加平(カピョン)と抱川(ポチョン)では行方不明者の捜索活動が2日目を迎え、新たに遺体が1体ずつ発見され、豪雨による死者・行方不明者はそれぞれ4人となりました。特に注目されているのは、加平郡朝宗面馬日里(チョジョンミョン・マイルリ)のキャンプ場で一家4人が土砂崩れに巻き込まれた事故です。当初は40代の夫婦と中学生の息子の3人が被害に遭ったと報じられましたが、20日に負傷状態で救助されヘリ搬送された高校生の息子もこの一家であることが後に判明しました。父親は前日、キャンプ場の渓谷から約6キロメートル下流の橋の下で遺体で発見されましたが、母親と中学生の息子は依然として行方不明です。現場は土砂や濁流で原形を留めておらず、橋も流され、車両や重機の進入が困難な中、119救助隊員による懸命な捜索が素手で続けられています。

2024年7月21日、豪雨被害を受けた京畿道加平郡のキャンプ場付近で、土砂と濁流に流され放置された浸水車両2024年7月21日、豪雨被害を受けた京畿道加平郡のキャンプ場付近で、土砂と濁流に流され放置された浸水車両

韓国キャンプ場の安全管理体制に課題

今回の事故が発生したキャンプ場のように、傾斜のある渓谷やその周辺に仮設建物やテントが密集する形態の施設は、韓国内の多くのキャンプ場に共通して見られ、山崩れや洪水などの自然災害に対する脆弱性が指摘されています。韓国観光公社によると、全国には4323カ所のキャンプ場があり、地方自治体の登録・認可制度の下で運営されています。2015年3月に仁川市江華郡(インチョンシ・カンファグン)のグランピング施設で発生した火災事故を契機に観光振興法が改正され、安全基準が強化され、自治体による定期的な指導・監督が義務付けられました。

しかし現実には、例えば京畿道加平郡では298カ所のキャンプ場を職員2人で担当しており、管理人員が全く足りていません。関係者は「ソウルの面積より広い地域を毎日出張して点検している」と実情を語ります。さらに深刻なのは、無許可で営業するキャンプ場の存在です。京畿道特別司法警察によると、無登録キャンプ場の違法行為は2022年に11件、2023年に15件、2024年に入って既に10件と、後を絶ちません。無登録キャンプ場は保険に加入していないケースが多く、事故が発生しても補償や賠償を受けることが困難となるリスクを抱えています。

悪天候時の返金トラブルが多発

また、悪天候時にもキャンセルの返金を拒否するキャンプ場が多い現状も大きな問題となっています。最近では、ネイバー(NAVER)のキャンプ関連コミュニティに「豪雨警報が出ているのに返金に応じてもらえず、仕方なくキャンプに出かけるしかない」といった不満の投稿が相次いでいます。あるユーザーは「豪雨注意報が出されたが、天災でも返金しないと告知している業者がある」と訴え、消費者院への相談を検討する声も聞かれました。別のユーザーは「豪雨警報が出ても『うちのキャンプ場は大丈夫』という業者からの返答しかなく、困惑している」と不満を漏らしました。韓国消費者院のデータによると、過去5年間で受け付けたキャンプ場関連の返金トラブル246件のうち、天候変化や天災による紛争が33%(61件)で最多を占めています。

今回の豪雨災害は、韓国のキャンプ文化が抱える安全管理体制の脆弱性と、利用者と事業者間の透明性・信頼性の欠如という課題を浮き彫りにしました。人命に関わる事故の再発防止のためには、法整備だけでなく、現場での厳格な運用と管理人員の拡充、そして消費者保護の観点からの明確なガイドライン策定が急務であると言えるでしょう。

参考文献

  • 聯合ニュース (Yonhap News Agency)
  • 韓国観光公社 (Korea Tourism Organization)
  • 京畿道特別司法警察 (Gyeonggi Provincial Special Judicial Police)
  • 韓国消費者院 (Korea Consumer Agency)