『あたしンち』作者けらえいこ氏、参院選マンガ投稿で思わぬ波紋

人気マンガ『あたしンち』の作者であるけらえいこ氏(62)が、7月20日に自身のX(旧Twitter)へ投稿した内容を巡り、インターネット上で波紋が広がっています。この投稿は、第27回参議院選挙の投開票日に行われ、注目を集めました。

選挙啓発マンガが「政治的スタンス」と受け取られた背景

問題の投稿は、投票日に公開された1コママンガです。『あたしンち』の「お母さん」が選挙ポスター前で《みんないいお顔が好きすぎるのよ》とつぶやき、《選挙に行こう 差別をしなさそうな人が、いいんじゃないかしら》というメッセージが添えられていました。

これは一見、投票を呼びかける啓発マンガですが、一部からは「政治的スタンス」を感じ取ったとの声が上がりました。

全国紙政治部記者によると、参院選で躍進した参政党は「日本人ファースト」や「外国人政策の見直し」を掲げ、「差別的ではないか」との指摘がありました。けら氏の《差別をしなさそうな人が、いい》という表現が、参政党支持者から同党へのアンチテーゼと見なされ批判されました。お母さんの服の色が参政党のイメージカラーであるオレンジだったことも、憶測を呼ぶ一因です。

人気マンガ『あたしンち』作者けらえいこ氏が参院選当日に投稿し、波紋を呼んだXのマンガ。お母さんが「みんないいお顔が好きすぎるのよ」と呟き、「選挙に行こう 差別をしなさそうな人が、いいんじゃないかしら」というメッセージが添えられている。人気マンガ『あたしンち』作者けらえいこ氏が参院選当日に投稿し、波紋を呼んだXのマンガ。お母さんが「みんないいお顔が好きすぎるのよ」と呟き、「選挙に行こう 差別をしなさそうな人が、いいんじゃないかしら」というメッセージが添えられている。

ネット上の賛否両論と専門家の見解

けら氏の投稿には、様々な反応が寄せられました。参政党支持者と思われるユーザーからは、「選挙に行こうだけでいい」「投票の方向性を示すべきではない」「ファンなのにショック」といった批判が相次ぎました。

一方で、「特定政党のことなんて書いてないのに怒るの?」「捉え方は人それぞれ」「ギャグ漫画のひとコマ」といった冷静な受け止め方も多く見られました。

前出の政治部記者は、けら氏の政治的意図は不明としつつも、政党名や候補者名に一切触れておらず、《差別をしなさそうな人が、いい》も一般的な価値観だと指摘。公職選挙法上の問題も見当たらないと見解を示しています。しかし、投稿タイミングや描写が重なり、一部から特定の政党への批判と捉えられてしまったのが実情だとしています。

長年にわたり日常の「のんびりとした笑い」を届けてきた『あたしンち』の「お母さん」が、図らずも今回の参院選を巡る思わぬ議論の火種となってしまいました。