日米貿易交渉で自動車関税引き下げ合意、韓国産業界に広がる波紋と今後の焦点

23日、日米貿易交渉において、日本が米国との間で従来予想されていた25%よりも低い15%の相互関税で最終合意に至りました。この結果を受け、韓国産業界、特に米国市場で日本と競合する自動車・電子業界は、政府の交渉結果に神経を尖らせ、損益計算を慌ただしく行っています。韓国政府が日本と同様の水準、あるいはそれ以下の関税率で交渉を妥結できるかに関心が集まっています。

日米合意が韓国電子・素材・部品業界に与える影響

テレビの素材・部品を韓国大手企業に納品するある中小企業の担当者は、今回の合意が韓国の産業に与える影響について懸念を示しています。「米国の電子・部品・素材市場では、日本製品と韓国製品が競合する品目が多いため、関税率に差が生じると需要が日本側に移動しかねません。韓国政府は少なくとも日本と同じ水準、あるいは1ポイントでも低い関税率での交渉を引き出すべきです」と強調しました。これは、日米間の貿易協定が第三国である韓国の産業競争力に直接的な影響を及ぼす可能性を示唆しています。

日米貿易交渉の合意を象徴する握手のイラスト。両国間の新たな経済関係構築の瞬間を表す。日米貿易交渉の合意を象徴する握手のイラスト。両国間の新たな経済関係構築の瞬間を表す。

自動車業界の動向と日米合意の波及効果

米国市場で日本と激しい競争を繰り広げている自動車業界も、日本の関税交渉の結果に大きな動揺を見せました。日本は同日、米国と自動車に限り、品目別関税率を現在の25%から半分の12.5%に引き下げることで合意。両国間の一般関税2.5%と合わせて、実際の関税率は15%と設定されました。これは、今年4月以降課されてきた25%よりも10ポイント低い水準です。この合意を受け、トヨタやホンダなど日本の自動車メーカーの株価は軒並み10%前後上昇しました。

昨年、米国市場における日本の自動車企業(6社)の販売台数が588万台、韓国企業(3社)が220万台だった中、韓国の現代自動車・起亜と日本のトヨタ、ホンダは米国で販売する主力車種のモデルや価格帯が類似しており、最大のライバルとされています。また、対米貿易黒字額の70%以上を自動車と自動車部品が占めている点も、日本と同様の状況です。日本が自動車の品目別関税率を引き下げたこの日、韓国の自動車企業の株価も軒並み急騰しました。これは、自動車の品目別関税で米国が譲歩する先例ができたことで、韓国政府の交渉結果に対しても市場の期待が反映されたものです。現在、韓国は自動車と自動車部品について25%の品目別関税を課されています。

対米自動車・自動車部品輸出の割合を示すグラフ。日米貿易交渉合意が韓国産業界に与える影響を視覚的に説明する。対米自動車・自動車部品輸出の割合を示すグラフ。日米貿易交渉合意が韓国産業界に与える影響を視覚的に説明する。

韓国の自動車業界関係者は、今回の日本の合意について分析しています。「北米(カナダ、メキシコ)で製造された自動車も25%の関税が課されることを考慮すれば、米国の部品がほとんど含まれていない日本車の関税率15%は、必ずしも高くないと見ることもできます。韓国も日本と同じ水準の関税率で交渉を終えるという市場の期待感が、株価を押し上げた要因だと考えられます。」とコメントしました。

専門家の分析と今後の米韓交渉の展望

産業研究院のチョ・チョル先任研究委員は、今回のドナルド・トランプ大統領による日本の自動車に対する関税率15%への引き下げは「品目別関税は譲歩しないと思われていた中で予想外のこと」だと述べました。しかし、同委員は「関税交渉は農畜産物やその他の条件と合わせて議論されているため、韓国と米国の交渉状況を今後も引き続き注視する必要があります」と付け加え、今後の米韓交渉の複雑な側面を指摘しています。

結論

日米貿易交渉における日本の自動車関税引き下げ合意は、特に自動車分野での米国側の譲歩という形で、韓国産業界に大きな影響と期待をもたらしました。この合意は、米国市場における日韓両国の競争力に直接的な影響を与える可能性を秘めており、今後の米韓貿易交渉の行方が、両国企業の米国市場における地位を左右する重要な鍵となるでしょう。

参考資料