米国が日本から5500億ドル(約81兆円)規模の巨額投資を引き出すことに成功した。その勢いのまま、今度は韓国に対しても同様の投資要求を行っていると、ブルームバーグ通信が24日(現地時間)に報じた。これは、関税引き下げを条件とした米国の一貫した貿易戦略の一環と見られており、日米間の合意が韓国に与える圧力と、今後の米韓貿易交渉の行方に注目が集まっている。
日米貿易交渉:5500億ドル投資の内訳と背景
ブルームバーグの報道によると、ラトニック米商務長官は当初、日本に対して4000億ドル規模の対米投資を提案していた。これは、米国が日本からの輸入品に課している25%の関税を15%に引き下げるための条件として提示されたものだ。具体的には、米ボーイング社製航空機の購入、米国産農産物および自動車・トラックなどの対日輸入障壁の緩和といった内容が含まれていた。
交渉過程では、トランプ大統領の直接的な介入があったと伝えられている。22日にホワイトハウス執務室で日本の貿易交渉総括を担当する赤沢亮正経済再生担当相と会談した際、トランプ大統領は、4000億ドルの対米投資額が記されたパネルの「4」の部分を自ら筆記具で「5」に書き換え、一瞬にして要求額を5000億ドルに増額させたという。最終的な発表段階では、さらに500億ドルが加わり、総額5500億ドルで確定した。この動きは、米国が貿易交渉において、大胆かつ強硬な姿勢で自国の利益を追求していることを示している。
韓国への同等要求の難しさ:経済規模の格差
ブルームバーグは、米国が日本と同様に、韓国との貿易交渉でも自動車を含む15%の関税率設定に焦点を当てていると指摘している。しかし、韓国が日本と同規模の対米経済支援を約束することは、はるかに困難であるとの見方を示した。
この困難さの背景には、両国の経済規模の格差がある。国際通貨基金(IMF)の基準によれば、2025年における日本の名目国内総生産(GDP)は4兆1900億ドルと予測されているのに対し、韓国は1兆7900億ドルにとどまる。これは、日本のGDPが韓国の約2.3倍に相当することを意味し、同等の絶対額での投資を要求されることが、韓国経済にとってより大きな負担となることを示唆している。日本との巨額投資合意が成立したことで、韓国はグローバル自動車販売競争において不利な立場に立たされる可能性があり、今後の貿易交渉は、韓国経済に大きな影響を与えることが予想される。
米国の貿易交渉を主導するラトニック商務長官の肖像。対日、対韓投資要求の背景にある米政府の姿勢を示す。
韓米通商協議の突然の延期とその影響
このような状況の中、米国は25日に米ワシントンで開催される予定だった韓米財務・通商長官による「2プラス2通商協議」を突然中止した。韓国の企画財政部は24日午前、報道発表を通じて、延期の理由をベッセント米財務長官の緊急な日程によるものと説明した。韓米両国は、協議の早期再調整を目指すとしている。
この突然の延期は、韓国が米国からの投資要求に対し、どのように対応していくのか、そして今後の米韓貿易関係がどう展開するのか、不確実性を高める要因となっている。日本との合意が韓国に与えるプレッシャーは大きく、米国の貿易戦略が世界経済に与える影響は今後も注視されるだろう。
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/0278ab17a955f4712327b6ccfdfec123bf9efd35