令和の時代も「結婚したら一人前」?増え続ける単身世帯と未婚者への社会圧力

「結婚して初めて一人前」――。個人の生き方が尊重されるべき令和の現代にあっても、このような固定観念が根強く残り、未婚者、特に単身者に対する社会的な圧力が未だに存在する。今回は、その「いま」に焦点を当て、実態と背景を掘り下げる。

結婚がもたらす「社会的信頼」の固定観念

日常生活における何気ない会話の中で、「結婚して、子どももいるんだから、もう立派な大人でしょ」といった言葉を耳にすることがある。これは、「結婚し、子どもがいること=立派な大人」という価値観が社会に浸透していることを示唆している。ある単身女性からは、「いい年をして、まだフラフラしているのか、という目で見られるのが辛い」という声も聞かれ、これは多くの未婚女性が共通して抱える感情だ。社会は、一定の年齢になれば結婚するのが当然、そして結婚すれば子どもを持つのが当然、という暗黙の前提を持つ傾向にある。結婚していることで社会的地位や信頼が保証され、子どもがいることでその保証がさらに強固になるという雰囲気が蔓延しているのだ。結婚していない理由を尋ねられること自体に違和感があるだけでなく、「“結婚しない”のではなく、“結婚できない”と見られる」と感じる未婚者もいる。

日本の社会に残る「結婚したら一人前」という固定観念と、それによって未婚者が感じる社会的圧力のイメージ日本の社会に残る「結婚したら一人前」という固定観念と、それによって未婚者が感じる社会的圧力のイメージ

東京の単身世帯、初めて半数超えの現実

このような固定観念とは裏腹に、日本の社会構造は大きく変化している。特に東京都内では、現在、世帯の半数以上が一人暮らしとなっている。未婚率の上昇などを背景に、今後も単身世帯の増加は加速すると見られている。2020年の国勢調査によると、東京都内の単身世帯は362万5810世帯に上り、一般世帯全体の50.26%を占め、初めて半数を超えた。これは都の予測を上回るペースで単身世帯が増加している実態を示している。ビジネスの場でも家庭でも、性別に関わらず個人の生き方が尊重され、価値観の多様化が進み、幸せの形が人それぞれであることは当たり前とされているはずだ。にもかかわらず、「独身であること=生きづらい、肩身が狭い」という声が、決して少なくないのはなぜだろうか。

少子化対策が進む社会での「独身者」への視線

国を挙げて少子化対策が推進され、全国の自治体が結婚、出産、子育てへの支援に注力している現状も、未婚者への圧力の一因となっている。結婚や出産、子育てが社会的に手厚く支援される一方で、「結婚もせず、子どもも産まない生き方は、社会から尊重されていない空気を感じる」という声が聞かれる。これは、多様な生き方が認められるべき現代において、未婚者が直面する新たな社会的課題を示している。

結論

「結婚したら一人前」という古くからの固定観念は、単身世帯が半数を超える現代日本においても、特に未婚者に対して根強い社会的な圧力を生み出している。価値観の多様化が進む中で、個人の生き方が真に尊重される社会の実現には、このような固定観念を見直し、未婚であることや単身であることに対する偏見を払拭することが不可欠である。

参考文献

  • Yahoo!ニュース / AERA dot. (2025年7月25日). 結婚したら一人前…令和の時代も残る“独身への圧力” 都内の単身世帯は半数超でも「社会から尊重されていない空気」. 最終閲覧日: 2024年X月X日. https://news.yahoo.co.jp/articles/f253a7fe691f430418f49e84795d50e9d886ef74
  • 総務省統計局 (2020年). 国勢調査.