米韓関税交渉、期限迫る攻防:日本との合意が韓国を動かす米国戦略の核心

相互関税適用の施行期限が迫り、韓国政府は米国との最終交渉に総力を挙げています。これは、米国の「技術的価値」重視の新関税政策と、日本が先行して得た合意が韓国の交渉に与える影響が注目される局面です。

米韓貿易協議の緊迫した現状

24日(現地時間)、韓国のキム・ジョングァン産業通商資源部長官とヨ・ハング通商交渉本部長はワシントンD.C.で、ハワード・ラトニック米商務長官と約80分間会談しました。当初予定された経済・通商分野の「韓米2プラス2閣僚級会談」は米財務長官の個人日程で見送られたものの、韓国側はホワイトハウス国家エネルギー委員会委員長を兼ねるダグ・バーガム内務長官らとの面会も模索。期限が迫る中、韓国政府の切迫感が伺えます。

ラトニック長官「日本効果」と韓国の衝撃

ラトニック長官は同日、CNBCのインタビューで、欧州連合(EU)と韓国が米国との交渉に「緊迫して乗り出している」現状を明かしました。特に強調されたのは、日本が5500億ドル(約80兆円)規模の投資の見返りとして関税引き下げを得た事実が、他国との交渉構図を一変させたという点です。長官は「韓国と日本は互いを常に意識している。韓国が日本との合意内容を読んだら、悔しがる声が聞こえてくることだろう」と述べ、「日本が合意したことを見た時、韓国が何を思ったか、想像に難くない。おそらく『そんなまさか』という反応だっただろう」と韓国の心情を推し量りました。これは、日本との先行合意が米国の要求水準設定に影響していることを示唆します。

ハワード・ラトニック米商務長官が語る米韓貿易交渉の動向と「技術的価値」戦略ハワード・ラトニック米商務長官が語る米韓貿易交渉の動向と「技術的価値」戦略

米国の「技術的価値」関税戦略

ラトニック長官は、韓国企業が米国で多くの工場を運営しつつも、主要部品と技術は依然として輸入している現状を指摘しました。そして、部品に対する関税適用を通じて、そこに内包される「技術的価値」まで関税対象とする米国の明確な立場を再確認しました。これは、高付加価値技術が海外にある既存のサプライチェーン構造を、関税政策で国内回帰させようとする米国の強い意志と見られます。

EUも同様に交渉急ぐ

米国との関税交渉は、韓国だけでなく欧州連合(EU)にとっても喫緊の課題です。EUは来月1日に施行が予告されている30%の関税適用を避けるため交渉を急ぎ、ラトニック長官はEU側が15%水準での妥協を試みていると述べました。これは、米国が主要貿易相手国に対し、自国の産業保護とサプライチェーン強化を目的とした強硬姿勢で臨んでいることを示しています。

結論

米韓間の相互関税適用を巡る交渉は最終局面を迎え、日本との先行合意が韓国の交渉に影響を与えています。米国の「技術的価値」を狙う関税戦略はグローバルサプライチェーンの再編を促すものであり、EUも同様の圧力に直面。今回の交渉の行方は、今後の国際貿易秩序を決定づける重要な試金石となるでしょう。

参考文献