赤沢経済再生相、米関税引き下げで10兆円損失回避を強調 – 日米経済安保確立へ

赤沢亮正経済再生相は26日夜のNHKの番組に出演し、米国による関税率の15%への引き下げにより、日本が約10兆円の損失を回避できたと説明しました。これは、日米間の新たな経済関係構築における重要な成果であり、その経済的影響が注目されています。

関税引き下げと対米投資の経済効果

赤沢経済再生相は、米国の関税率引き下げによって10兆円規模の損失を回避できた一方で、対米投資における利益配分を米国9割、日本1割としたことで日本が失うものは「数百億円の下の方」に留まると強調しました。この比較から、関税引き下げの効果が大幅に大きいとの認識を示しています。トランプ米政権が発表していた日本による5500億ドル(約80兆円)の対米「投資」について、石破茂政権はこれを「出資・融資・融資保証の枠」と位置づけ、9対1の利益配分は出資に限定されると説明しています。赤沢氏は、80兆円のうち出資部分は1〜2%程度であり、そこから得られる利益は数百億円の下の方に過ぎないと述べました。しかし、9対1の比率が米国に有利であることは認めつつ、「大統領が国内向けに『取った』と言うのはあってしかるべき」との見解を示し、政治的な側面にも配慮している姿勢が見て取れます。

赤沢経済再生相が日米関税問題と経済安保について発言赤沢経済再生相が日米関税問題と経済安保について発言

日米経済安全保障の強化と企業への恩恵

トランプ大統領の任期中に5500億ドルの対米投資額を積み上げる意向であると赤沢氏は語りました。この取り組みは、「しっかりとやることで日米で経済安全保障を確立できる」とのビジョンに基づいています。さらに、この投資に参加する日本企業は「間違いなく潤う」と保証し、特定製品については米国が全てを買い取るといった優遇措置の可能性にも言及しました。これは、単なる貿易交渉に留まらず、日米間の経済的な結びつきを強化し、安全保障面での連携を深める戦略的な意味合いを持つものと見られます。

新税率適用時期と自動車関税への言及

日米間で合意された新たな税率の適用時期について、赤沢氏は相互関税が8月1日を想定していると明らかにしました。一方、日本にとって特に重要視される自動車関税の27.5%から15%への引き下げについては明言を避け、「早く大統領令を出して関税を下げてくれ、と徹底的にやる」と述べ、引き続き米国政府への働きかけを強化していく姿勢を示しました。これは、今後の日米貿易交渉における焦点の一つであり、自動車産業の動向に大きな影響を与える可能性があります。

結論

今回の米関税率引き下げは、日本にとって10兆円規模の損失回避という大きな経済的利益をもたらしました。対米投資の利益配分における一部譲歩はあったものの、その損失は限定的であり、全体として日本に有利な結果となったと言えます。この合意は、日米間の経済安全保障の確立に向けた重要な一歩であり、今後の両国関係の深化が期待されます。

参考文献