日本銀行は30、31日に金融政策決定会合を開く。日米の関税交渉は合意に達したが、日銀内では、関税の影響を当面、見極めていく必要があるとの意見が出ている。決定会合では、政策金利である短期金利の誘導目標を0・5%程度で据え置くことを決める公算が大きい。
関税交渉の合意について、日銀の内田真一副総裁は23日の記者会見で、「非常に大きな前進であり日本企業にとっては不確実性が低下したということだが、世界経済全体、日本経済全体にとっての不確実性は引き続き高い」と説明した。日本の経済・物価情勢の先行きを巡っては、「引き続き、下振れするリスクも見ないといけない」と指摘。米国の高関税政策の影響を丁寧に確認する必要があるとの認識を示した。
また、別の日銀幹部からも、「関税が日本企業の業績に与える影響を確認した上で利上げを判断するべきだ」などの意見が出ている。
決定会合後、日銀は四半期に1度まとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する。2025年度の物価上昇率の見通しは、5月公表の前回リポートの2・2%(政策委員9人の中央値)から上方修正される可能性が高い。
日銀は「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げていく」としており、物価見通しの上方修正は利上げ判断の追い風となりそうだ。調査会社の東短リサーチが市場の取引状況から推測したデータによると、日銀が今年中に利上げを行う確率は25日時点で88%となっている。