スティーブ・バノン氏、台湾有事への米軍介入を主張:日韓台防衛は「死活的利益」と強調

米国の第1次トランプ政権で大統領首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏(71)が、読売新聞の電話インタビューに応じ、台湾有事における米軍の介入の必要性を明確に主張しました。「米国は、台湾に対するいかなる攻撃も撃退するという立場を明確かつ断固として示す必要がある」と述べ、台湾の防衛が米国にとっての死活的な国家安全保障上の利益に直結すると強調しました。この発言は、世界政治における米国の役割、特にアジア太平洋地域における安全保障戦略に関する重要な見解を示すものです。

MAGAの立場と非介入主義の適用範囲

バノン氏は、「MAGA(マガ)」として知られるトランプ大統領の中核支持層に対し、絶大な影響力を持つ人物です。第2次トランプ政権での役職就任はないものの、トランプ氏とは近い関係を保っています。氏は「MAGAは孤立主義者でも反戦主義者でもない」と明言し、国際社会における米国の役割に対する支持層の認識を明確にしました。その上で、ロシアのウクライナ侵略や中東地域の紛争については「米国にとって死活的に重要な国家安全保障上の利益にあたらない地域では非介入主義をとる」と述べ、米軍が関与すべきではないとの考えを示しました。これは、米国の外交・安全保障政策において、介入すべき領域とそうでない領域を峻別する姿勢を示唆しています。

台湾の戦略的要衝性とその防衛の重要性

バノン氏は、ウクライナや中東とは対照的に、台湾は地政学上の要衝である点を強く指摘しました。特に「最も先進的な半導体の開発と生産が行われている」と強調し、台湾の経済的・技術的価値が世界経済に与える影響の大きさに言及しました。この半導体産業の集中は、現代社会における台湾の戦略的重要性を一層高めています。氏の主張は、「台湾の防衛、韓国と日本という同盟国の防衛は米国の死活的に重要な国家安保上の利益に直結する」という断言に集約されます。これにより、日本、韓国、そして台湾の安全保障が、米国の国家安全保障戦略において極めて高い優先順位を持つことが明確に示され、日韓台の連携した防衛体制の重要性が浮き彫りになりました。

トランプ氏の対中姿勢に関するバノン氏の見解

中国の習近平国家主席との良好な関係を強調するトランプ氏の姿勢については、バノン氏自身も分析を加えました。彼は、トランプ氏が「更なる戦争を望んでいない。台湾侵攻が決して起こらないように、(中国と)何らかの合意に達したいのだろう」との見方を示しました。この分析は、トランプ氏の外交戦略が、対話を通じて紛争を回避し、合意形成を目指す可能性があることを示唆しています。バノン氏の視点から、潜在的な第2次トランプ政権における対中政策の方向性の一端がうかがえます。

今回のインタビューは2月22日に行われました。スティーブ・バノン氏はハーバード大経営大学院を修了後、米海軍、大手投資銀行、保守系メディア経営などを経て、2016年大統領選終盤にトランプ陣営の最高幹部を務めました。政権離脱後も、自身の人気番組「ウォールーム(作戦室)」を通じ、トランプ大統領支持の立場で政治活動を継続しています。

参考文献

  • Source link (読売新聞の電話インタビュー記事)