コンサル業界の「炎上案件」:プッチンプリン騒動から見るその実態

コンサルティングという仕事には、「優秀な人材が鮮やかに課題を解決する」という華やかなイメージがつきまとう一方で、その具体的な業務内容や「リアルな姿」は外部から見えにくいものです。しかし、業界内では「炎上案件」と呼ばれる大幅な遅延や問題が発生したプロジェクトが存在します。本記事では、この「炎上案件」の実態と、それが示すコンサル業界の知られざる側面について掘り下げます。

コンサル業務の不明瞭さと「炎上案件」の定義

コンサルティングの仕事が一般に分かりにくい理由について、アクセンチュアの元社員は「守秘義務があること、時代と共にコンサルの役割が変化していること、そして多様なプロジェクトが存在するから」と説明します。企業の課題が多岐にわたるため、コンサルの仕事もまた多種多様となり、「これがコンサルの仕事」と一言で定義することが難しいのです。このようなコンサル業界において、プロジェクトの進捗が大幅に遅れたり、重大な問題が発覚したりした事案は「炎上案件」と呼ばれます。その「炎上」の度合いが大きくなると、稀にメディアで報じられ、水面下で進められていたプロジェクトの詳細が公になることがあります。

江崎グリコ「プッチンプリン」騒動に見るコンサルの「リアル」

具体的な「炎上案件」の例として、2024年春に発生した江崎グリコのシステム障害が挙げられます。「プッチンプリン」をはじめとする定番商品が店頭から一時的に姿を消すという騒動は記憶に新しいでしょう。このトラブルの引き金となった「基幹システム切り替えプロジェクト」を主導していたのが、デロイト トーマツ コンサルティングであることがメディアの報道を通じて明らかになっています。総投資額が約340億円にも及ぶ巨大プロジェクトであったことも報じられました。このように表沙汰になる「炎上案件」は、世間の注目を集めやすいですが、実はごく一部に過ぎません。

水面下に葬られる「炎上案件」の大部分

江崎グリコの事例のようにメディアで報じられる「炎上案件」は、まさに「氷山の一角」に過ぎません。コンサルティングファームにとってプロジェクトの「炎上」は、その評判に関わる大きな「恥」であるため、ほとんどの事案は外部に知られることなく、水面下で処理され、葬り去られていくのが実情です。表には見えないところで多くの困難や失敗が繰り返されており、それがコンサルという仕事の「リアル」な側面を構成しています。

コンサルティング業界は、その専門性と複雑さゆえに、外からは見えにくい多くの現実を抱えています。成功事例の裏には、今回取り上げたような「炎上案件」という形で表出する、あるいは水面下に隠された数々の挑戦と失敗が存在します。これらの「リアル」を理解することが、コンサルティングの真の価値と課題を把握する上で不可欠です。


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