米紙ワシントン・ポストは27日、国防総省が報道機関への情報漏えい者を特定するためポリグラフ(うそ発見器)を用いて調査を行っていたが、ホワイトハウスの指示により中止されたと報じました。この中止の背景には、ヘグセス国防長官の上級顧問が自身も調査対象となる可能性に強く反発し、ホワイトハウスに不満を申し立てた経緯があります。
米国防総省の建物。内部の情報漏えい調査とポリグラフ使用を巡るホワイトハウスとの対立を示す。
国防総省による情報漏えい調査の開始背景と中止経緯
国防総省の調査は、ヘグセス国防長官が情報漏えいへのいら立ちからポリグラフの使用を決定したことで、4月に始まり数週間にわたって実施されました。当時、ヘグセス長官は、自身が一般アプリのチャットに空爆計画を投稿するなどのずさんな情報管理が報じられたほか、周辺の人事を巡る混乱を伝える報道が相次ぎ、不満を募らせていたとみられます。このため、漏えい元の特定を急ぐ必要性を感じていたと考えられます。しかし、この内部調査は突然の終了を迎えました。
ホワイトハウス介入の背景:上級顧問の不満
ポリグラフの使用中止に至ったのは、ヘグセス長官の上級顧問であるパトリック・ウィーバー氏の介入が大きかったとされています。ウィーバー氏は、トランプ政権内で絶大な力を持つスティーブン・ミラー大統領次席補佐官と密接な関係にある人物です。自身が調査対象となる可能性に憤慨したウィーバー氏は、ホワイトハウスに直接苦情を申し立てました。これを受け、国防総省はホワイトハウス関係者からの電話指示により、ポリグラフを用いた情報漏えい調査を停止しました。ウィーバー氏は現在も国防総省の上級顧問を務めています。
まとめ
国防総省による情報漏えい元の特定に向けたポリグラフ調査が、ホワイトハウスの介入とヘグセス国防長官の側近の不満によって中止された今回の件は、トランプ政権内部における情報統制の難しさや、権力バランスの複雑な構図を浮き彫りにしています。機密情報の取り扱いを巡る緊張と内部対立は、今後も米政権の動向を左右する重要な要素となり得るでしょう。
参考文献
- https://news.yahoo.co.jp/articles/e86da885b146e83232cfa8ef8481f6d0abe1d4e8
- ワシントン・ポスト
- AP通信
- 共同通信