米国と欧州連合(EU)は7月27日、EU製商品に一律15%の関税を課す貿易協定に合意しました。ホワイトハウス共同取材団によると、トランプ米大統領は英国スコットランドで欧州委員会のフォンデアライエン委員長との会談後、この合意を公表し、フォンデアライエン委員長も「この合意は安定性をもたらすだろう」と確認しました。
米EU貿易協定の詳細と日本との比較
今回の合意では、EU製自動車を含む全ての品目に一律15%の関税が課されることになります。これは、米国が7月22日に日本政府と妥結した関税率と同様の水準です。さらに、トランプ大統領は、EUが7500億ドル(約110兆円)規模の米国産エネルギーを購入し、現在米国に投資している金額から追加で6000億ドルを投資することにも合意したと明らかにしました。フォンデアライエン委員長は、交渉が当初不均衡だった状況から「双方が望む均衡を見いだした」と評価し、貿易の活性化に期待を示しました。しかし、米国が世界中の鉄鋼とアルミニウムに課している50%の品目別関税は、今回の合意とは別のものとして扱われます。
スコットランドのゴルフリゾートで米EU貿易協定締結を確認し握手するトランプ米大統領とフォンデアライエン欧州委員長
半導体関税の動向と韓国への影響
同日、ラトニック米商務長官は半導体関税について、「2週間後に通商拡大法第232条に基づく半導体関税に関する発表を行う予定だ」と述べました。通商拡大法第232条は、特定品目の輸入が国家安全保障を脅かすと判断された場合、商務長官が大統領に報告書を提出し、大統領が関税などの輸入規制措置を決定できる内容です。半導体は自動車と共に、韓国の対米主力輸出品目であり、半導体関税が施行されれば、サムスン電子やSKハイニックスといった韓国の半導体業界に深刻な影響を及ぼすことが予想されます。米商務省は半導体のみならず、医薬品などに対しても同法に基づいた調査を進めています。
日EU合意後の韓国の貿易交渉状況
日本に続きEUも米国との貿易交渉で合意に達したことで、現在最終交渉が大詰めを迎えている韓国政府への圧力がさらに増しています。韓国の具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相兼企画財政部長官は、トランプ大統領が予告した関税賦課予定日の前日にあたる7月31日に、ベッセント米財務長官と最終的な交渉調整に臨む予定です。当初、両国の通商担当長官を含む「2プラス2」のハイレベル貿易会談が25日に予定されていましたが、ベッセント長官の都合により延期されていました。
まとめ
米国とEUの貿易協定締結は、グローバル貿易環境に新たな動きをもたらしました。日本に続きEUとも関税合意に至ったことで、米国は主要貿易相手国との関係を再構築しています。特に、半導体など特定の産業に対する関税措置の可能性は、韓国経済、特にその主要輸出品目に大きな不確実性をもたらしています。今後、米韓間の最終貿易交渉がどのように決着するか、国際社会の注目が集まっています。