金正恩氏の娘・ジュエ氏「急成長」の波紋:北朝鮮で「背伸びサプリ」が爆売れの理由

北朝鮮で、子供の成長を促進するとされる健康食品、通称「背伸びサプリ」が爆発的な人気を博しています。この予期せぬ社会現象の背景には、最高指導者金正恩総書記の娘であるジュエ氏の存在が深く関わっていると見られています。彼女の公の場での「急成長」が、北朝鮮社会にどのような影響を与えているのでしょうか。

金正恩総書記と並んで歩く娘ジュエ氏、その身長差が話題に金正恩総書記と並んで歩く娘ジュエ氏、その身長差が話題に

ジュエ氏の異例の動向と身長の変遷

金正恩総書記の娘、ジュエ氏は2013年生まれとされ、今年で12歳を迎えます。近年、彼女はファーストレディの李雪主(リ・ソルジュ)氏の代理を務めるなど、異例の頻度で公の場に登場し、その動向が注目されています。

ジュエ氏が北朝鮮メディアに初めて報じられたのは2022年11月のこと。当時9歳とされていた彼女の身長は、韓国の情報当局が170センチと推定する金総書記の肩あたりに届く程度でした。しかし、その後の登場では、驚くべき成長ぶりが確認されています。先月報じられた映像では、彼女の身長は父親の金総書記とほぼ同じくらいに見えるまでに伸びていました。

韓国メディアの報道によると、リゾート地区の竣工(しゅんこう)式で捉えられたジュエ氏の身長は165センチ以上と推定され、わずか2年半で約20センチも成長した計算になります。これは北朝鮮の成人女性の平均身長154センチを大きく上回る数値です。さらに、脱北者の身長調査では、20代男性の平均が165.4センチとされており、ジュエ氏の現在の身長がいかに高いかが際立っています。

「背伸びサプリ」ブームが示す北朝鮮社会の現実

ジュエ氏の目覚ましい身長の伸びは、北朝鮮住民の間で子供の成長に対する関心を急増させました。韓国メディアは、この現象が韓国製の「背伸びサプリ」ブームを引き起こしていると報じています。これらの健康食品は、多くが非正規なルートで北朝鮮国内に流入していると見られます。

この背景には、北朝鮮社会における高身長が持つ特殊な意味合いがあります。毎日新聞の客員編集委員である鈴木琢磨氏は、「背が高い、体格がいいということは、一種のエリートなわけです。自分たちは特権階級なんだというものを見せていくということが、北朝鮮のなかで生きていくうえでプラスだと重要視していると思う」と指摘しています。つまり、高身長は単なる身体的特徴にとどまらず、社会的な特権やエリート層の象徴として認識されており、子供の成長期に投資することで、将来的な社会的地位向上への期待が込められていると考えられます。

結論

金正恩総書記の娘ジュエ氏の公の場での「急成長」は、北朝鮮社会に予想外の波紋を広げ、子供の身長に対する意識を大きく変えました。この現象は、「背伸びサプリ」の爆発的な売上という形で現れ、高身長が特権の象徴とされる北朝鮮の社会構造と住民の意識を浮き彫りにしています。指導者の家族の姿が、一般住民の生活や価値観にまで影響を及ぼすという、北朝鮮ならではの社会現象と言えるでしょう。

参考文献:

  • テレビ朝日 (ANNニュース)
  • Yahoo!ニュース (記事掲載元)
  • 韓国メディア報道 (複数の情報源に基づく)
  • 毎日新聞 (鈴木琢磨氏の見解)