石破茂首相、参院選大敗後も続投の意向示す:党内の責任論と世論の動向

参院選での歴史的敗北を受け、自民党は混乱の只中にあり、石破茂首相(自民党総裁)の進退問題が大きな焦点となっています。28日午後、党本部で開かれた両院議員懇談会において、石破首相は続投への理解を求めましたが、複数の議員からは敗戦の責任を問う声が噴出。約4時間半に及ぶ議論は、首相を取り巻く厳しい状況を浮き彫りにしました。

石破首相は懇談会終了後、自身の責任については「総合的に踏まえて適切に判断したい」と述べ、国民世論と党の考えの一致の重要性を強調しました。現時点での続投方針に変わりはないとし、「果たすべき責任を果たしていきたい」と明言しています。

参院選大敗後の党内動向:両院議員懇談会での紛糾

両院議員懇談会の冒頭、石破首相は参院選の結果について「深く心からおわびする」と陳謝しました。しかし、会合では首相の責任を追及する意見が相次ぎ、議論は長時間に及びました。森山裕幹事長は、参院選の総括委員会を設置し、8月中に報告書をまとめる方針を示した上で、自身の責任についても明らかにすると表明しました。

拡大する退陣論と緊急総会開催の動き

参院選大敗を受け、自民党内では石破首相の退陣論が拡大しています。特に、首相に批判的な笹川博義農林水産副大臣らは、緊急事項を議決できる両院議員総会の開催を求める署名活動を展開しており、懇談会でも総会開催の要求が多く出されました。森山幹事長は、総会をできるだけ早く開催する方向で、29日の役員会で協議する考えを示しており、今後、石破首相への退陣圧力がさらに強まるかが焦点となります。

国民世論の複雑な様相:続投への賛否

国民の世論は、石破首相の続投について複雑な様相を呈しています。朝日新聞の世論調査では「辞める必要はない」が47%と「辞めるべきだ」の41%をわずかに上回りました。一方、日経新聞の調査では約6割が2026年春までの続投を求め、毎日新聞の調査では次の首相にふさわしい人物として石破首相がトップに挙げられました。さらに、25日夕方には官邸前で「石破辞めるな」と訴える異例のデモも開催されるなど、続投を支持する声も存在します。

参院選大敗後の記者会見で真剣な表情を見せる石破茂首相参院選大敗後の記者会見で真剣な表情を見せる石破茂首相

石破首相の決意と今後の課題

懇談会で石破首相は、日米関税交渉におけるトランプ政権との合意について「着実な実行に全力を尽くし、万全を期したい」と述べました。また、「うそのない心で、国家・国民のために尽くす、そういうような思いでこれから先、臨みたい」と語り、政治空白を生むことなく責任を果たす意向を改めて示しました。党内からの厳しい声と、国民世論の複雑な反応の中で、石破首相が今後どのようにリーダーシップを発揮し、党を立て直していくかが注目されます。


参考文献: