参院選敗北後、石破首相への退陣要求が噴出:菊間千乃氏が指摘する「自民党不信の根源」

参院選での歴史的敗北を受け、自民党内で石破茂首相(党総裁)への退陣要求が噴出する中、元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃氏が29日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に生出演し、この状況に対し私見を述べました。菊間氏は、退陣を求めている議員が「自民党支持率の低下を招いている人」である点に強い違和感を表明し、国民の不不信感の根源に迫る議論を展開しました。

弁護士で元フジテレビアナウンサーの菊間千乃氏。自民党の参院選敗北と裏金問題に対する見解を示す。弁護士で元フジテレビアナウンサーの菊間千乃氏。自民党の参院選敗北と裏金問題に対する見解を示す。

自民党両院懇談会での退陣要求:首相の続投意思と厳しい現実

参院選大敗後、初めて党所属議員が一堂に会した両院議員懇談会では、石破首相が敗北を謝罪しつつも「政治空白を生まないよう責任を果たしたい」と述べ、続投方針を強調しました。しかし、首相の進退について発言した63人のうち、約40人が「即時退陣」を要求。続投支持派はわずか6、7人に留まり、首相の立場の厳しさが浮き彫りになりました。この懇談会の様子は、各メディアでも詳細に報じられ、党内の混乱が露呈する形となりました。

菊間千乃氏の「気持ち悪さ」指摘:政治とカネの問題が背景に

菊間氏は、この一連の動きに対し「退陣を求めている人たちが、自民党支持率の低下を招いている人というところが、見ていて何か、気持ち悪いなという感じがします」と率直な感想を述べました。現在の自民党への不信感の背景には、裏金事件に代表される「政治とカネの問題」が非常に大きいと指摘。裏金事件で名前が挙がった議員らが、党内で問題が処理されたとして石破首相を批判する構図は、国民から見れば「自分たちがそのようなことを言うのか」と、さらなる違和感を生むと説明しました。この発言は、単なる責任論に留まらない、党の体質そのものへの問いかけとして注目を集めました。

政治ジャーナリスト田﨑史郎氏の見解:退陣要求の広がり

一方、政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は解説の中で、退陣要求の声は「いわゆる裏金議員の人たちもやっているが、麻生派や旧二階派、旧茂木派、菅グループの人たちもやっている。そのうちの一部が裏金の人たちで、全体が動いているということ」と反論しました。これは、首相への責任追及が一部の層に限定されたものではなく、党内全体に広がる動きであることを示唆するものです。これに対し、MCの羽鳥慎一氏は「ただやっぱり、発言すると『うーん、何なんだ』という引っかかりはありますけど」と述べ、広がりを認めつつも、その背景にあるモラルに対する国民の感情に配慮する姿勢を見せました。

石破首相の責任と自民党の構造的課題

菊間氏はさらに踏み込み、「選挙の取り方の責任としては、当然、今までの流れだと石破さんが辞めるということになるんだと思うんですけど」と前置きしつつ、自民党の総括の理由を挙げました。それは、一部の支援団体にばかり目を向け、国民全体を考える政策ができていなかった可能性や、政治とカネの問題、そしていまだに企業・団体献金を温存する党の方針などです。これらは石破首相が本来求めていたことではないにもかかわらず、党の大半の方針に従わざるを得なかった現実があると指摘。「石破さんを替えると、もっと悪い方向に行くのではないかと思っている人もいるのではないか」と、安易な首相交代が事態を悪化させる可能性も示唆しました。

新聞社説に見る石破首相への責任論

田﨑氏は最後に、現在の世論として「新聞の社説がそろって、(石破首相に)辞めなさい、と言っている。全国紙のほとんどが退陣を言っている」と指摘しました。選挙で「50議席を取る」という必達目標を掲げながらも、それを達成できなかった石破首相の責任は重く、まずはその責任をきちんと取ることが先決だという見方を強調しました。この発言は、党内の動きだけでなく、外部からの厳しい視線が石破首相の進退に強く影響している現状を示しています。

まとめ

参院選大敗後の自民党両院懇談会では、石破首相への退陣要求が多数を占め、党内が大きな岐路に立たされていることが明確になりました。菊間千乃氏と田﨑史郎氏の議論は、この問題が単なる選挙責任論に留まらず、裏金問題に代表される「政治とカネ」や党の構造的な課題と深く結びついていることを浮き彫りにしました。国民の不信感を払拭し、今後の政治空白を回避するためには、党としての根本的な改革が求められることになりそうです。


参考文献: