2025年の参議院選挙は、減税を掲げた勢力が議席を大きく伸ばす結果となりました。「日本人ファースト」や「減税」を主張する新興勢力に票が流れ、減税に抵抗し続けた自公政権は大敗を喫しました。しかし、国際政治アナリストであり早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏は、「減税はほぼ起きない、夢のようなものだ」と警鐘を鳴らしています。国民が消費税維持を訴えた自民党に「ノー」を突きつけたにもかかわらず、なぜ減税は実現が難しいのでしょうか。渡瀬氏は、この先3年間で「中長期的な増税案が無数に仕込まれる」と指摘しています。また、先日みんかぶマガジンが配信しSNSで大きな話題を呼んだ経済学者・竹中平蔵氏と実業家・林尚弘氏の対談記事「“減税は無意味”竹中平蔵氏があっさり断言するワケ『低所得者はそもそも税金を払っていない』」も、日本の税制を巡る議論に一石を投じています。
日本の財政と減税政策を考察するイメージ画像
2025年参議院選挙、減税派の台頭と自民党の敗北
2025年の参議院議員選挙は、明確に「減税派」の勝利で幕を閉じました。主要野党の大半が社会保険料を含む何らかの減税を強く主張し、一方で自民党は減税を頑なに拒否する姿勢を貫き、結果として歴史的な大敗を喫しました。特に、当時の森山幹事長が「消費税を守り抜く」と発言したことは、まるで党の存在意義が「国民から消費税を守り抜くこと」にあるかのような印象を与え、有権者の反発を招きました。この選挙結果は、国民の間に根強く存在する減税への期待と、現行の税制や社会保障制度への不満が明確に表れたものと言えるでしょう。
「減税はほぼ起きない夢物語」国際政治アナリスト渡瀬裕哉氏の指摘
通常、国民が与党を過半数割れさせ、減税を掲げる野党が政権を奪取すれば、次々と減税法案が可決され、減税政策が実現していくのが「普通の国」の姿です。日本国民も、そのような政治の動きを強く望んでいるはずです。しかし、渡瀬裕哉氏によると、残念ながら日本ではそのような現象は「ほぼ起きない夢のようなものだ」と語ります。仮に何らかの減税が行われたとしても、その前後には必ず、その減税と対をなす別の「増税政策」が巧妙に仕込まれているのが日本の政治の実態だといいます。渡瀬氏は、「中長期的な増税案がこの3年間の間に無数に仕込まれる」と警告しており、日本の政治家は自らの本来の役割を果たすことなく、あたかも役人の代弁者として増税の腹話術をしているに過ぎないと厳しく指摘しています。
なぜ政治家は「減税」を訴えるのか?選挙戦略と与党の現状
では、なぜ日本の政治家たちは、実現が困難とされる「減税」をこれほどまでに声高に訴えるのでしょうか。その理由は極めて単純で、それが彼らの「政治生命に直結する一大事」、すなわち衆議院議員選挙や参議院議員選挙があったからです。選挙という局面においては、国民の支持を得るために「減税」という魅力的な公約を掲げるのが常套手段となっているのが現状です。
一方で、今回の選挙で大敗を喫した与党側は、もはや政治生命の限界を迎えた「老衰状態」にあるとも言えるかもしれません。かつての自民党であれば、野党よりもさらに大胆な減税策を打ち出し、野党の選挙争点を無力化するような戦術をとることもありました。しかし現状の与党政治家は、妙にテクニカルな議論に終始し、「給付金」のような、深く考えられていない愚策を安易に発言する傾向にあります。渡瀬氏は、そのような決断は役人でもできるレベルのものであり、政治家としての本質的な「劣化」が進んでいるのではないかと疑問を呈しています。政治家が真に国民のための決断を下すのではなく、官僚機構の意向を代弁する存在になっていることが、減税が「夢物語」となる根本的な原因なのかもしれません。
結論
2025年の参議院選挙で「減税」を掲げる勢力が勝利を収めたものの、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が指摘するように、日本において本格的な減税が実現する可能性は極めて低いのが現状です。政治家が選挙期間中のみ「減税」を訴え、実質的には増税策が着々と進行するという構造が日本の政治には根強く存在しています。この背景には、政治家が官僚の代弁者と化し、国民のための本質的な決断を下す能力が低下しているという現状があります。国民の減税への強い願いと、財政健全化への政府の思惑が交錯する中で、私たちは日本の財政と政治の現実を冷静に見極める必要があります。
参考文献
- オリジナル記事: Yahoo!ニュース (みんかぶマガジン)
- 関連対談記事: “減税は無意味”竹中平蔵氏があっさり断言するワケ「低所得者はそもそも税金を払っていない」(みんかぶマガジン)
- https://news.yahoo.co.jp/articles/000d9a33387f64b705c3f7d2579e9bd1ff4e680c (※参照元のURLが同じであるため、実際の記事URLを適宜変更してください)