日産自動車、第1四半期決算で1157億円の赤字計上:再建計画「Re:NISSAN」の進捗と課題

日産自動車は、2025年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表し、最終損益が1157億円の赤字となったことを明らかにしました。これは国内外での販売不振に加え、トランプ関税などの影響が大きく作用した結果であり、同社が直面する経営環境の厳しさを浮き彫りにしています。

厳しい市場環境下の最終損益と社長のコメント

エスピノーサ社長は決算発表会見で、「2025年度、特に上半期の業績は、当社が直面する課題の深さを実感させるものだ」と述べ、現状に対する厳しい認識を示しました。その上で、車種の絞り込みや固定費の削減といった取り組みにより改善の兆しは見られるものの、販売不振や地政学的要因が最終的な赤字計上に繋がったことを認めました。この結果は、自動車業界全体が直面する変動の激しい市場環境の中で、日産が迅速かつ的確な対応を求められていることを示唆しています。

日産自動車決算発表におけるエスピノーサ社長日産自動車決算発表におけるエスピノーサ社長

経営再建計画「Re:NISSAN」の進捗状況

2025年度から2026年度にかけて発表された中期経営計画「Re:NISSAN」は、今回の厳しい決算状況下でも着実に進捗しています。エスピノーサ社長によると、第1四半期だけで300億円以上の経費削減を実現。これは固定費の見直しや事業効率化の努力が結実したものです。さらに、世界中で7つの車体生産工場を閉鎖する計画のうち、既に5か所の閉鎖が決定済みであることも明らかにされました。これらの構造改革は、将来的な収益性改善と事業基盤の強化を目指すものです。

新車攻勢と通期販売台数見通し

日産は、経営再建と並行して、グローバル市場での競争力強化を目指しています。特に日本とアメリカ市場では、積極的な新車攻勢をかける方針を表明しており、これにより販売回復を図る戦略です。年間の販売台数見通しについては325万台を維持しており、エスピノーサ社長は「日本やアメリカで強い新車攻勢をかけており、達成可能な数字」との見方を示しました。この目標達成には、新モデルの市場投入と、販売戦略の成功が不可欠となります。

日産自動車は困難な局面にあるものの、抜本的な構造改革と市場戦略によって、今後の回復を目指しています。特に、計画通りの経費削減と新車投入が、2025年度の業績回復の鍵となるでしょう。


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