日本国内におけるガソリン価格の上昇を受け、その税負担に関心が集まっています。OECDのデータによれば、日本のガソリン税負担率は欧州主要国より低く、国際的には中位に位置付けられます。一方で、米国は産油国であることに加え、過去の増税案に対する強い反発の経験から、燃料課税に極めて消極的な姿勢をとってきました。本稿では、この日米間の価格差を生み出す構造的な要因を、国際比較データと米国の国内事情から分析します。
第21回】 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)> 2023.02.07
ガソリン税の国際比較〜米国のガソリンが安い理由〜
日本ではガソリン価格の上昇が続き、家計への打撃や政府への批判の声が高まっています。しかし、果たして日本のガソリン価格や税負担は世界的に見て本当に高いのでしょうか。OECDの国際比較データをもとに、日本の位置づけを確認しつつ、ガソリン価格が際立って安いことで知られる米国の背景事情を探ります。産油国という地理的優位性だけでなく、増税に慎重な政治姿勢や国民感情が、その“安さ”を支えているのです。
日本ではガソリン価格の上昇が話題となり、政府に対する批判も見られます。では、世界各国と比較して、日本のガソリン価格や税負担は高いのでしょうか。
日本のガソリン税負担の位置づけ
OECDは加盟35ヵ国における、2022年第3四半期時点のガソリン1リットルあたりの価格と税負担の比較データを公表しています。価格には為替の影響があるため、各国の税負担率(価格に占める税金の割合)で比較すると、日本は35か国中24位。つまり、税負担は中間よりやや低めの位置にあります。
税負担率が最も高いのはフランス(55.7%)、次いでイタリア(55.3%)、オランダ(54.9%)、ドイツ(54.4%)と続きます。日本の税負担率は42.3%です。
税負担が軽い国は?
同じOECD資料によると、税負担が最も軽いのは米国(12.9%)です。10%台の国は他に存在せず、20%台の国では、オーストラリア(21.1%)、カナダ(26.5%)、トルコ(27.0%)が上位に位置します。