日帝強占期強制徴用被害者の遺族が日本製鉄を相手取り起こした損害賠償請求訴訟で勝訴し1億ウォン(約1068万円)の賠償を受けることになった。
法曹界によると、ソウル中央地裁は2日、強制徴用被害者Aさんの息子が日本製鉄を相手取り6月に提起した損害賠償訴訟で、「被告は1億ウォンを支給せよ」として原告勝訴の判決を下した。
原告の訴訟代理人はAさんの孫である現職裁判官が個人の資格で引き受けた。
民事訴訟法第88条によると、単独裁判官が審理・裁判をする事件のうち、その訴訟目的の額が一定額以下の事件で、当事者と密接な生活関係を結んでおり一定の範囲内の親族関係にある者は裁判所の許可を得て訴訟代理人になることができる。
今回の訴訟の場合、請求額が1億ウォン以下の上に、訴訟代理を引き受けた裁判官が当事者と4親等以内の親族関係であり裁判所から訴訟代理の許可を得たものとみられる。
1922年生まれのAさんは1944年4月ごろに福岡県にある日本製鉄の作業場で強制労働に苦しめられ解放後に帰国した。
Aさんは2015年に死去し、彼の息子は2019年3月に日本製鉄を相手取り1億ウォンの賠償を求める訴訟を起こした。
他の強制徴用訴訟と同じようにこの事件も消滅時効が争点となった。
日本製鉄は強制動員被害者の賠償請求権を初めて認めた韓国大法院(最高裁)の2012年の破棄差し戻し判決から3年が過ぎた時点で訴訟が提起され、消滅時効は完成されていると主張した。民法上の損害賠償請求権は違法行為にともなう損害と加害者を被害者が知った日から3年が経過すると消滅する。
しかし裁判所は消滅時効計算基準を2012年の破棄差し戻し判決ではなく、この判決が再上告を通じて大法院全員合議体で確定した2018年とみるべきと判断した。
これは2023年12月に日本企業を相手取り日帝強制動員の責任を問う第2次損害賠償訴訟で出た大法院判決の趣旨に従ったものだ。
当時大法院は強制動員被害者に対する日本の戦犯企業の損害賠償責任を認めた2018年の判決までは日本企業側が消滅時効完成を主張することが許されないという判断を初めて明確にし、その後下級審はこうした趣旨の判決を相次いで出している。