ヘンリー王子とメーガン妃が大手動画配信サービス、ネットフリックスと結んだ約160億円に上る5年契約が、今年9月にも満了を迎える見込みです。王室離脱後、アメリカ・カリフォルニア州へ移住した夫妻にとって、この大型契約は生活の基盤となるものでしたが、果たして更新されるのでしょうか。一連のプロジェクトの評価は厳しく、今後の財政状況や、メーガン妃の回顧録出版を巡る憶測が広がる中、サセックス公爵夫妻の動向に世界中の注目が集まっています。
ネットフリックスとの大型契約とその背景
2020年の王室離脱直後、ヘンリー王子夫妻はネットフリックスと巨額の契約を締結しました。しかし、女優としての経験を持つメーガン妃も映像制作の経験は皆無に等しく、ヘンリー王子に至っては実社会での労働実績がないため、当時からメディアからは「経験不足ではないか」との声が上がっていました。王子はこれに対し、「メーガンがこの分野で長く働き、何でも知っていると安心させてくれた。彼女に任せておけば問題ない」と自信を見せ、自身も映像制作技術を学ぶ意欲を示していました。
物議を醸したドキュメンタリー「ハリー&メーガン」
夫妻が最初に発表した作品は、2022年に公開されたドキュメンタリー「ハリー&メーガン」でした。この番組は、夫妻が王室を離脱した経緯を語る内容で、物珍しさも手伝い、当初の視聴率は悪くありませんでした。しかし、後にいくつもの虚偽や不正確な情報が発覚し、批判の的となります。例えば、パパラッチに執拗に追われたと訴える映像が「ハリー・ポッター」の試写会時のものと判明したり、南アフリカでアーチー王子らを狙ったとされる「悪質なパパラッチ」が実は許可を得た公式撮影者であったりといったずさんな描写が見つかりました。
メーガン妃のNetflix番組「ウィズ・ラブ、メーガン」での一幕。今後の契約更新に注目が集まるサセックス公爵夫妻の活動を示す一枚。
中でも、最も視聴者の怒りを買ったのは、メーガン妃がエリザベス女王へのコーテシー(敬礼)を大げさに真似て見せ、英国王室の長い伝統を見下すような仕草をしたことです。その場にいたヘンリー王子が妻をたしなめるどころか、軽く笑って見ていただけだったことも、多くの反感を買いました。
続くプロジェクトの不振と離婚の憶測
「ハリー&メーガン」に続く夫妻のネットフリックスでのプロジェクトは、予想通り不振続きとなります。「リブ・トゥ・リード」「インビクタスゲーム」「ポロ」といった番組はいずれも低調に終わり、起死回生を期して今年3月に公開されたメーガン妃の料理ともてなしをテーマにした番組「ウィズ・ラブ、メーガン」も、「現実離れしている」「不誠実すぎる」といった批判に晒され、今年前半の視聴率ランキングで300位圏外という惨敗を喫しました。
度重なる失敗にもかかわらず、ネットフリックス幹部は、もしメーガン妃が離婚した場合には、単発の独占配信を望んでいるとの情報も浮上しています。世間からすっかり見放されつつある夫妻に対し、「かなりの金額が手に入るとなれば、偽装離婚すらしかねない」という辛辣な声さえ上がっているのが現状です。一時は人気恋愛小説「ミート・ミー・アット・ザ・レイク」の映画化がメーガン妃とヘンリー王子の手で進められるという話もありましたが、監督も出演者も決まらないまま。アフリカをテーマにしたドキュメンタリーの企画も囁かれましたが、その後の具体的な進展は報じられていません。
契約終了後の財政的課題
もし9月にネットフリックスとの契約が終了すれば、ヘンリー王子夫妻は現在のライフスタイルを維持できるのかが懸念されています。カリフォルニア州での住宅ローン、高額な固定資産税、そしてセキュリティ費用など、彼らにかかる費用は膨大で、維持していくのは容易ではありません。この巨額な支出を賄うためには、新たな収入源の確保が喫緊の課題となります。
注目されるメーガン妃の回顧録とハリー王子の「スペア」続編
このような状況下で、今最も注目されているのがメーガン妃による回顧録の出版です。「メーガンの回顧録は出版界の注目度が極めて高い」という声は以前から上がっていました。回顧録についてメーガン妃自身は「よく尋ねられますが、人生はまだ続くのです」と肯定も否定もしていません。しかし、以前、ロンドンのフログモア・コテージから米国へ引っ越す準備中に、机の引き出しから「王室にいるときに付けた日記が見つかった。すっかり忘れていた」と明かしたことがあり、「わざとらしい」「王室を脅すつもりか」といった批判を浴びました。これに対し、ヘンリー王子は「日記には日付がついているから信ぴょう性が高い」とメーガン妃を擁護しました。
しかし、世間の反応は厳しいものです。「再びファクトチェックが必要になるだろう」「天敵キャサリン妃をまた攻撃すれば、今度こそ称号剥奪される」といった懸念の声が聞かれます。また、メーガン妃が英王室に実質わずか2年間しか滞在していないことから、もし回顧録を書くなら「幼児期の話しかないのではないか」と揶揄する向きもあります。
一方、ヘンリー王子は2023年1月に暴露本「スペア」を出版し、兄ウィリアム皇太子の「予備」として不当な扱いを受けた経験を赤裸々に綴りました。その際、王子は「まだ400ページ分が残っている。もう一冊書ける」と明かしており、夫妻それぞれが新たな暴露本を出版する可能性も示唆されています。
ネットフリックスとの契約満了日が目前に迫る中、追い詰められたサセックス公爵夫妻が次なる一手として何を選択するのか、その動向から目が離せません。
参考文献:
ジャーナリスト・多賀幹子