「自分と同じ年代の人は、一体どれくらいの預貯金や投資性資産を持っているのだろうか?」そう疑問に感じたことはありませんか?将来への備えや資産形成を考える上で、他の世帯の状況を知ることは非常に参考になります。
この記事では、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」のデータに基づき、20代から70代の一人暮らし世帯が保有する預貯金や株式、投資信託といった金融資産の平均額を詳しく解説します。自身の資産状況と比較し、今後の資産運用や貯蓄計画を見直すきっかけにしてください。
一人暮らし世帯の金融資産総額:年代別の平均
まずは、一人暮らし(単身世帯)における「金融資産総額」が年代別にどれくらいあるのか、その平均額を見ていきましょう。金融経済教育推進機構が2024年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、以下の結果が示されています。
- 20代:161万円
- 30代:459万円
- 40代:883万円
- 50代:1087万円
- 60代:1679万円
- 70代:1634万円
このデータから、年代が上がるにつれて金融資産が増加する傾向が明らかです。特に60代が最も高い金融資産総額を保有しており、これは現役時代の貯蓄や退職金などが積み上がった結果と考えられます。
一方で、70代になると平均額がやや減少する傾向が見られます。これは、定年退職により定期的な労働収入が年金収入に変わり、資産を取り崩して生活費に充てるケースが増えるためと推察されます。また、高齢期の医療費や介護費用などの支出が増えることも影響している可能性があります。
年代別で見る預貯金・投資性商品の保有状況
次に、一人暮らし世帯が「預貯金、株式、投資信託、債券」といった各金融商品をそれぞれどれくらい保有しているのか、20代から70代までの年代別平均額を詳細に見ていきましょう。
- 20代:預貯金91万円、株式24万円、投資信託31万円、債券1万円
- 30代:預貯金200万円、株式115万円、投資信託66万円、債券2万円
- 40代:預貯金331万円、株式254万円、投資信託176万円、債券1万円
- 50代:預貯金419万円、株式220万円、投資信託138万円、債券8万円
- 60代:預貯金551万円、株式340万円、投資信託373万円、債券21万円
- 70代:預貯金573万円、株式394万円、投資信託267万円、債券113万円
日本の世帯の金融資産と貯蓄を表すイメージ画像。貯蓄、投資、資産形成の概念。
上記のデータを見ると、20代から30代では金融資産総額の半分以上が預貯金で占められており、他の年代でも預貯金の割合が高めであることが分かります。これは、安全性や流動性を重視する傾向が強いためと考えられます。
しかし、20代と比較して30代から40代にかけては、株式や投資信託といった投資性商品の保有額が顕著に増加しています。これは、キャリアの確立や収入の増加に伴い、資産にゆとりが生まれ、投資を通じた資産運用への関心が高まっていることを示唆しています。特に、若い世代を中心にNISA(少額投資非課税制度)などを活用した資産形成の動きが活発になっていることも影響しているでしょう。
また、債券に関しては、60代から保有額が少しずつ増え始め、70代では100万円を超える水準に達しています。高齢になるにつれて、リスクを抑えた安定的な運用を志向する傾向が強まることが、このデータからも見て取れます。年金生活における資産保全の意識の高まりが背景にあると考えられます。
まとめ:データから見る一人暮らしの金融資産と今後の資産形成
今回の調査結果から、一人暮らし世帯の金融資産は年代が上がるにつれて着実に増加し、その内訳も預貯金中心から投資性資産へと徐々にシフトしていく傾向が明らかになりました。特に、30代・40代で株式や投資信託への関心が高まり、60代・70代では安定志向の債券保有が増えるという特徴が見て取れます。
これらの平均値はあくまで参考ですが、自身の資産状況や今後のライフプランを考える上で貴重な羅針盤となります。将来に備えた貯蓄や資産形成を始める、または見直す際には、このデータを参考に、自分に合った預貯金と投資性商品のバランス、そして適切な資産運用の割合を検討することが重要です。
参考文献
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC). 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査][二人以上世帯調査](2024年)」. https://www.j-flec.or.jp/flec-research/report/