ドナルド・トランプ前米大統領が、米国が世界各国から得た関税収入を国民、特に中産層と低所得層に配当金として分配する構想を打ち出し、注目を集めています。この計画は、増加の一途を辿る関税収入を背景に浮上しており、米国の財政状況に新たな視点を提供しています。
◆関税収入の配当金分配、中産層・低所得層を重視
3日(現地時間)、ロイター通信の報道によると、トランプ氏は取材団に対し、「特に、中産層と低所得層に配当金を支給できると考えている」と語りました。しかし、同時に「我々がやるべきことの一つは負債削減だ」とも付け加えました。すでに、ミズーリ州のジョシュ・ホーリー上院議員など一部の共和党議員からは、関税収入を国民に還元する法案が提出されており、この構想は共和党内で一定の支持を得ていることが伺えます。
エアフォースワンに搭乗するドナルド・トランプ前大統領、関税収入の国民還元計画に注目
◆急増する米国の関税収入とその規模
トランプ氏が配当金支給に言及する背景には、その関税収入の莫大な規模があります。米インターネット経済誌「ウルフ・ストリート」が3日に報じたところによると、米国は鉄鋼に25%の新規関税が適用され始めた今年3月以降、関税収入が急増しています。3月には82億ドル(約1兆2000億円)を計上し、その後4月には156億ドル、5月には222億ドル、6月には266億ドル、そして7月には280億ドルへと増加し続けています。ウルフ・ストリートは、この傾向が続けば年間で計3080億ドルもの関税収入に達し、前年同期比で約4倍近くの増加となると予測しています。ニューヨーク・タイムズ(NYT)も同日、今年7月までの米国の関税収入(一部消費税を含む)が1520億ドルに上り、昨年同期の780億ドルのほぼ2倍に達したと報じました。
◆関税政策の長期的な展望と財政への影響
専門家は、現在の関税政策が今後も維持される場合、10年間で合計2兆ドルを超える追加輸入関税が発生する可能性があると見ています。NYTは、長らく慢性的な赤字に苦しんできた米国の財政にとって、この関税収入が注目すべき新たな収入源として浮上していると指摘しています。このため、関税政策がトランプ政権以降も容易に撤回されない可能性があるとの見通しを示しており、米国の貿易および財政政策の今後を左右する重要な要素となるでしょう。
◆まとめ
ドナルド・トランプ氏による関税収入の国民への配当金分配計画は、米国の貿易政策と財政状況の新たな局面を示唆しています。急増する関税収入が新たな財源として注目される中、この政策が米国の財政健全化にどの程度貢献し、国民の生活にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注視されます。
◆参考文献
- ロイター通信(Reuters)
- ウルフ・ストリート(Wolf Street)
- ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)
- AP通信(The Associated Press)
- 聯合ニュース(Yonhap News)