トランプ氏、労働統計局長を解任:7月雇用統計「不正操作」と批判

ドナルド・トランプ米大統領は、労働統計局のエリカ・マッケンターファー局長を解任したと表明しました。この決定は、8月1日に発表された7月の雇用統計の数字が悪化したことを受けてのもので、トランプ氏はバイデン政権下で局長に就任したマッケンターファー氏が政治的に統計を操作したと主張しています。世界経済に影響を及ぼす可能性のあるこの動きは、今後の米国の政治・経済動向に注目を集めています。

トランプ前米大統領がワシントンD.C.のホワイトハウスで演説。雇用統計巡る局長解任を表明した彼の姿勢を表す。トランプ前米大統領がワシントンD.C.のホワイトハウスで演説。雇用統計巡る局長解任を表明した彼の姿勢を表す。

解任の背景とトランプ氏の主張

トランプ氏がマッケンターファー局長の解任を表明した主な理由は、7月の雇用統計の「悪化」とその「政治的」操作疑惑です。彼は、局長が数字を一方的に操作したと決めつけ、3日に解任を公表しました。自身のソーシャルメディアでは「詐欺だ! 彼女は大規模な『修正』をし、クビになった」と投稿し、今回の7月の雇用統計が「ここ50年で最大の誤った数字だ」とまで批判しています。この強硬な姿勢は、統計の信頼性に対する異例の疑問符を投げかけるものです。

7月雇用統計の詳細と数字の修正について

発表された7月の雇用統計では、景気動向を敏感に示す非農業部門の就業者数が前月比で7万3000人増加しましたが、これは市場の事前予想を大きく下回る結果でした。さらに、5月と6月の就業者数が大幅に下方修正され、実際の合計は当初発表より25万8000人も少なかったことが明らかになりました。

しかし、雇用統計の就業者数が修正されることは、決して珍しいことではありません。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、調査対象である約12万1000の企業・政府機関のうち、約6割しかその月の集計に間に合わないため、後から届くデータによって前月までの数字が修正されるのは毎月の定例的なプロセスです。バイデン政権下でも同様に下方修正された事例があり、今回の修正が政治的意図によるものとするトランプ氏の主張は、この統計の特性を考慮すると議論の余地があります。

まとめ

トランプ氏による労働統計局長解任は、7月の雇用統計の悪化と、それに伴う「政治的数字操作」との一方的な主張が背景にあります。一方で、雇用統計の数字修正は統計作成の性質上、定期的に行われるものであり、今回の解任が政治的な介入であるという批判もあがっています。この出来事は、今後の米国経済と政治の動向、そして統計の独立性に対する議論に一石を投じるものとなるでしょう。


参考文献: