私は自他ともに認める「文化系人間」であり、人生で「運動」というものに真剣に取り組んだ経験は皆無に等しい。むしろ、運動は「嫌い」と断言しても良いほどだ。そんな私が、60歳という節目の年齢を迎えた今、まさか「加圧トレーニング」を始めることになろうとは夢にも思わなかった。毎週のようにヒーヒー言いながら筋力トレーニングに励む日々が来るとは……。
「文化系人間」としての半生と運動との距離
身長167センチと高めの私だが、華奢な痩せ形ではなく、肩幅もしっかりとした骨太な体格だ。幼少期は非常に痩せていたものの、小学校4年生頃からは急に体重が増え始め、いわゆる「肥満児」と称されるようになった。4月生まれで体が大きく、小学校では児童会長を務めるなど、周囲からは「活発で大きな子」という印象を持たれていたに違いない。大人たちからは「陶子さんは体格がいいねー」とよく褒められたが、女子としてはどこか複雑な気持ちだったのを覚えている。
学生時代には、バレーボール部やバスケットボール部の顧問の先生方から「ぜひうちの部へ!」と熱心に勧誘されたものだ。今思えば、相当「いい体」に見えていたのだろう。運動能力以前に、まずは体格が重要視されたのかもしれない。しかし、私自身は運動部に所属し、ひたすら特定の運動に打ち込むというイメージを全く持てず、その気は一切なかった。所属した部活動は全て「文化系」だ。小学校から高校まではブラスバンドでトランペットを吹き、大学ではイングリッシュドラマクラブに所属し、英語でミュージカルに挑戦していた。
60歳で踏み出した「加圧トレーニング」という大きな一歩
そんな根っからの「運動嫌い」だった私が、人生で初めての本格的な「加圧トレーニング」に挑むことは、かなりの「決断」だった。何しろ、しんどいことは大の苦手だからだ。
加圧トレーニングと聞くと、私の脳裏に真っ先に浮かぶのは、やはり「藤原紀香」さんの存在である。かなり以前に、その抜群のスタイルを維持するために藤原紀香さんが実践しているトレーニングとして雑誌か何かで紹介され、それ以来、私の中では「スターが行う特別なもの」として心の中に深く刻み込まれていた。過去に抱いた、かすかな憧れが、もしかしたら今の私の背中を押したのかもしれない。「痩せれば紀香!」と人間ドックのドクターに言われたこともあったっけ(笑)。毎週のセッションは楽ではないが、これまでの人生とは異なる新たな挑戦に、不思議と充実感を感じている。
武内陶子さんがスタジオで加圧トレーニングを行う様子
新たな挑戦がもたらす変化と今後の展望
60歳にして始めた加圧トレーニングは、単なる肉体的な鍛錬に留まらない。長年抱き続けてきた「運動嫌い」という自己認識を打ち破り、新たな可能性に挑戦するきっかけとなっている。体力の維持向上はもちろん、精神的な充実感、そして何よりも「やればできる」という自信が芽生え始めたことは、人生の後半戦をより豊かに生きるための大きな財産となるだろう。この新しい運動習慣が、これからの私のライフスタイルにどのような変化をもたらすのか、今から楽しみでならない。年齢を理由に諦めるのではなく、一歩踏み出す勇気が、新たな自分と出会う扉を開くのだと、改めて実感している。