石破首相、参院予算委でれいわ伊勢崎議員に「今でも先生」 日米地位協定巡り共鳴の答弁

石破茂首相は5日の参院予算委員会で、れいわ新選組の伊勢崎賢治参院議員(68)に対し、「今でも先生だと思っております」と深い敬意を示しながら答弁を行った。この異例のやり取りは、長年両者が共有してきた日米地位協定に関する問題意識が背景にあり、国会での活発な議論の幕開けを予感させた。

伊勢崎議員の経歴と日米地位協定への問題提起

伊勢崎議員は、かつて国連職員や東京外国語大学名誉教授を歴任し、その国際的な知見と経験を持つ異色の経歴の持ち主である。今回、れいわ新選組の比例代表特定枠から参院選で初当選を果たし、永田町での新たな論戦に臨んでいる。石破首相との出会いは、「だいぶ前」と伊勢崎議員が語るように、ジャーナリストの田原総一朗氏の紹介によるもので、当時研究者であった伊勢崎氏が「面白い政治家がいる」と石破氏に引き合わされたと記憶されている。この時の議論が、日米地位協定問題であったことが、二人の長きにわたる問題意識の共有を示す。

伊勢崎議員は、委員会で日米地位協定の見直しについて強く問題提起を行った。彼は、「米軍を受け入れる国が法的にアメリカと平等になること」の重要性を強調し、他国の同盟国では当たり前となっている中で日本が取り残されている現状を批判した。さらに、「在日米軍基地が他国への攻撃に使われそうな時、日本がそれを拒否する権利を地位協定の中で担保すること、すなわち『自由なき駐留』を平時から世界に向けて発信することは日本の国防にとって必要な措置」であると主張。石破首相に対し、その見解を求めた。

日米地位協定を巡る質疑で注目を集める石破茂首相日米地位協定を巡る質疑で注目を集める石破茂首相

石破首相の共鳴と国会論戦の意義

伊勢崎議員の問いに対し、石破首相は「同じ1957年生まれ。どっちが若く見えるか知りませんが、私は今でも伊勢崎さんのことを先生だと思っています」と、改めて深い敬意を表した。首相は、伊勢崎氏の著書を数多く読み、様々な議論を重ねてきたことを明かし、「(問題意識が)少しでも残っていれば、というご指摘ですが、そのまま残っています。問題意識は同じように持っています」と、長年の持論である日米地位協定見直しへの強い意思表示をした。

さらに首相は、「立場は違いますが、(国会で)議論できる機会を得られたことは、大変幸せなことだと思っています」と述べ、異なる政党に属する者同士が重要課題について建設的な議論を行う意義を強調した。首相は与党内の議論の必要性にも言及しつつ、「全然答えになっていないというような顔をされていますが、すみません。ご容赦たまわりたいと存じます」と、長年の「先生」を前にしたかのような、どこか恐縮した様子で答弁を終えた。

石破首相と伊勢崎議員の国会での対話は、日米地位協定という日本にとって極めて重要な課題において、立場を超えた深い共鳴があることを示した。この質疑応答は、単なる国会答弁に留まらず、今後の日本の安全保障政策、特に在日米軍基地のあり方に関する議論に新たな視点をもたらす可能性を秘めている。両者の共通の問題意識が、今後の政策論議にどのような影響を与えるか、注目される。

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