ウサギのような耳にギザギザの歯、モフモフの毛並み。ただかわいいだけではない、どこか不敵な表情が強く印象に残る──。
【関連画像】インドネシアのECサイト「トコペディア」で販売されている、ラブブを携帯するケース(写真=トコペディアのホームページから)
中国の玩具メーカー、泡泡瑪特国際集団(ポップマート)が展開するキャラクター「LABUBU(ラブブ)」が、東南アジア市場を席巻している。
インドネシアの首都、ジャカルタ中心部にある商業モール「コタ・カサブランカ」のポップマートの店舗に7月のある日曜日に足を運ぶと、ヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)姿の女性を中心に多くの客らでごった返していた。
●ジャカルタ女子のトレンド
女性店員によれば、「圧倒的に人気なのはラブブ」といい、価格は手のひらサイズのフィギュアで17万9000ルピア(約1620円)。流行の発信源は定かではないが、インスタグラムやTikTok(ティックトック)といったSNSへの投稿をきっかけに、10代後半から20代前半のジャカルタ女子の間では、ラブブのフィギュアを専用ケースに入れて、肩掛けカバンからつるして持ち歩くことが流行になっているそうだ。専用ケースは売り切れとのこと。
ラブブのコーナーに立ち寄っていた20代前半の女性は「ラブブは見た目がかわいらしくて好き。専用ケースが欲しくて来たけど、ここでも売り切れ」と、少し残念そうな様子だった。
ラブブは香港出身のイラストレーターのカシン・ロン氏が北欧の民話に着想を得て2015年に考案した。19年からポップマートとタイアップして商品化されている。
「ブラインドボックス」という販売形式に特徴があり、実際に箱を開封してみるまで、どんな色や形のフィギュアが中に入っているのかは分からない。日本のガチャガチャに通じるワクワク感も人気の秘密だ。
ジャカルタに先立って、タイの首都バンコクでもラブブは旋風を巻き起こしていた。人気の火付け役はK-POPガールズグループ「BLACKPINK(ブラックピンク)」のメンバーでタイ出身のLISA(リサ)。インスタグラムのフォロワー数が1億人を超える国民的アイドルが取り上げたことで、24年の流行のピーク時には街行く女性がこぞってカバンからラブブのフィギュアを吊り下げていた。