韓国大統領室は、ドナルド・トランプ米国前大統領による半導体品目への最大100%関税賦課の示唆に対し、韓国が米国から「最恵国待遇(MFN)」の約束を受けているとの立場を改めて表明した。姜由楨大統領室報道官は7日、関連質問に「韓国政府はすでに米国から最恵国待遇の約束を受けている」と述べ、最恵国税率が適用されることを説明。呂翰九通商交渉本部長のこれまでの発言を引用し、その内容を維持する方針を示した。
米国からの「最恵国待遇(MFN)」確約について
最恵国待遇(Most Favored Nation, MFN)とは、貿易相手国に対し、差別なく最も有利な条件を相互に提供するという国際的な通商原則である。特定の国にのみ特典を与えたり、不利益を課したりしないことがその目的だ。韓国政府はこれまで、米国との関税交渉において、半導体や医薬品分野で韓国が他国と比較して不利な条件とならないよう保障されていると明言してきた。この度の姜報道官の発言は、この既存の確約が、将来の米国の関税措置に対しても有効であるとの認識を強調するものだ。
姜由楨大統領室報道官、米半導体関税と重大災害処罰法に関する政府見解を説明
ポスコE&C死亡事故と「重大災害処罰法」の補完検討
一方、姜報道官は最近発生したポスコE&Cでの死亡事故に関する政府の対策にも言及した。大統領室内の会議で、現行の「重大災害処罰法」における不備が検討されたという。姜報道官は、「現行法令では、事業所につき2人以上の死亡者が発生しなければ営業停止措置ができない」と指摘し、このような法的な不備に対する補完が必要だとの議論があったことを明らかにした。
さらに、懲罰的損害賠償制度についても検討が進められていることに加え、李在明大統領(※現大統領は尹錫悦、記事原文の記述に基づき記載)が指示した事項についても毎日点検していると説明した。李大統領は以前、ポスコE&Cで重大災害が繰り返されている現状を重く見て、大統領室の参謀に対し、建設免許の取り消しや公的入札の禁止など、可能なあらゆる法的制裁措置を講じるよう指示。懲罰的損害賠償制度など追加の制裁措置についても検討・報告を求めていた。これらの動きは、労働災害防止への政府の強い姿勢を示すものと言える。
結論
韓国大統領室の今回の発表は、米国の通商政策に対する確固たる外交的立場と、国内の労働安全問題に対する厳格な対応方針を明確にした。半導体関税における「最恵国待遇」の再確認は、国際貿易ルール遵守の重要性を示す一方、重大災害処罰法の見直しは、企業に対する責任強化と労働者保護の必要性を浮き彫りにしている。これらの政策は、韓国経済と社会の安定性向上に寄与することが期待される。
参考文献:
- ニュース1 (2025年8月7日). 大統領室、米国の半導体関税巡り「最恵国待遇」を改めて確認. [元の記事のURL]
- 韓国大統領室発表資料 (日付不明)