中東情勢に詳しい放送大学の高橋和夫名誉教授は7日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見し、6月の米イスラエルによる対イラン攻撃はイランのロシア製防空システムの脆弱さを露呈したと述べた。その上で、イランはロシアに対し、より精度の高い最新鋭兵器の供与を求めながら、中国製戦闘機の調達を模索していると指摘した。
高橋氏は、イランを支持する隣国パキスタンが5月のインドとの戦闘で、中国製殲(J)戦闘機でインドのフランス製ラファール戦闘機などを撃墜したと主張していることが背景にあると述べた。イランが中国製戦闘機の調達を実現させれば、「何もしなくても中国の影響力が中東に及んでくる」と語り、イランとパキスタンの軍事協力がさらに進むとの見通しを示した。
パキスタンがイランを支持する背景については、イスラム教国家として連帯を示すことだけが理由ではないと述べた。イスラエルが「イランの体制転覆まで視野に入れている」と推測した上で、イランのハメネイ体制が崩壊して米イスラエル寄りの政権が誕生すれば、パキスタンはインド、アフガニスタン、イランの3方向から囲まれることになると指摘。そうした事態を避ける思惑があると語った。パキスタンとアフガンは長年、国境線を巡り対立。パキスタンと敵対するインドのモディ政権は近年、イスラエルとの関係強化を進めている。(岡田美月)