日本大学において、再びスポーツ部を巡る問題が浮上しています。今年6月には重量挙げ部の元監督が特待生の授業料不正受領で逮捕されたばかりですが、今度は別の体育会系クラブで指導者のハラスメント疑惑が明らかになりました。
日大のキャンパスまたは関連施設。同大学ではボート部監督による問題が浮上しており、早急な対応が求められている。
保護者からの情報によると、問題が指摘されているのは日大ボート部の監督です。学生に対する差別的発言、暴言、恫喝が常態化していたとされ、現在、大学の事務局がこの件について調査を進めているとのことです。学生の保護者は、被害を受けた学生たちから直接聞き取りを行い、その実態を明らかにしています。
疑惑のボート部監督とは?その指導歴と評判
問題のボート部監督は、日本大学ボート部のOBであり、卒業後は地元である兵庫県神戸市を拠点に、ボート競技の指導と普及活動に従事してきました。2012年からは中学生を対象としたボートクラブの監督を務め、全国レベルの選手を多数輩出するなど、実績を積んできた人物です。2013年にはNPO法人を設立し、ボート競技を核とした地域スポーツ普及活動にも尽力してきました。日大ボート部の監督に就任したのは2023年で、今年で3年目を迎えます。関係者からは「かなりスパルタ指導で知られた人物」という評価が聞かれています。しかし、その指導は、時に学生の精神的健康を脅かす言動を伴っていたとされています。
学生が告発した日常的なハラスメントの実態
告発を行ったのは、2024年4月に日大に入学し、同時にボート部に入部・入寮した学生です。彼らへの聞き取り調査によると、入寮直後から監督による暴言や恫喝が始まり、それが今年6月まで日常的に繰り返されていたとされています。学生たちは「監督からの日常的な暴言に精神的に耐えられない。明らかなパワハラと感じる言動もあり、監督を解任してほしい」と訴えています。
具体的には、学生の人格を否定する発言や差別的な言動が日常的に繰り返されており、場所や日時が特定できる以下のような事例が挙げられています。
【ケース1:公益通報への報復ともとれる脅迫行為】
2023年12月、タイで開催された「U19アジアローイングジュニア選手権大会」において、当時高校生だった一人の学生が他校の選手からプライバシー侵害のトラブルに巻き込まれました。この問題は1年以上にわたって未解決のままで、日大入学後も続いていたため、精神的に追い詰められたこの学生は、同じボート部の仲間に相談しました。
部内で監督の暴言が常態化している現状から、「訴えても揉み消される可能性がある」と判断した二人の学生は、2025年4月21日、まずスポーツ庁に対し、プライバシー侵害問題に対する適正な措置を求める公益通報を行いました。その後、5月2日には同様の書面を大学の監督およびコーチ陣にも提出しました。
しかし、その夜、トラブルに巻き込まれた学生は監督とコーチの一人に呼び出され、監督から以下のような厳しい叱責を受けたとされています。
- 「こんなこと(公益通報)をしていると、学費免除がなくなるぞ」
- 「補助金がなくなるぞ」
- 「除籍もあり得る」
さらにその翌日、一緒に公益通報を行ったもう一人の学生も呼び出され、監督は彼に対しても次のように叱責しました。
- 「お前の学費免除もなくなるぞ」
- 「首を突っ込むと、自分が損をするぞ」
これらの言動は、学生が問題を外部に訴えたことへの報復であり、トラブルを隠蔽しようとする圧力がかけられた可能性が指摘されています。
結論と今後の対応
今回の告発は、日本大学ボート部における指導者の深刻なハラスメント問題を示唆しています。学生が精神的な苦痛を訴え、大学側が「公益通報」に対する不利益な取り扱いを示唆したとされる事実は、大学のガバナンスと学生保護の姿勢に大きな疑問を投げかけるものです。
日大には、過去の不祥事から学んだ教訓を活かし、今回の疑惑に対し透明性をもって速やかに、そして厳正に対応することが強く求められます。学生が安心して学業とスポーツに打ち込める環境を確保するためにも、徹底的な事実確認と、必要に応じた適切な措置が急務と言えるでしょう。