エリザベス・ウォーレン上院議員、富裕層課税巡る白熱の議論でCNBC司会者と衝突

米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が、CNBCのニュース番組『スクワーク・オン・ザ・ストリート』に出演し、司会のデビッド・フェイバー氏との対談が大きな注目を集めています。特に、富裕層への課税強化とその経済的影響を巡る議論は、米国の経済政策や格差問題に焦点を当てるものでした。

富裕層課税の議論を巡るエリザベス・ウォーレン上院議員の姿富裕層課税の議論を巡るエリザベス・ウォーレン上院議員の姿

ニューヨーク市長選候補ゾーラン・マムダニ氏の革新的な政策

対談の焦点となったのは、2025年11月に実施されるニューヨーク市長選挙の民主党候補者、ゾーラン・マムダニ氏(33)が掲げる公約です。マムダニ氏は、公共バスや保育制度の無料化といった市民生活に直結する政策を提唱。その財源確保のため、上位1%の富裕層に対する所得税の引き上げや、企業への課税強化を打ち出しています。

自身を「民主社会主義者」と称するマムダニ氏は、現在の資本主義体制に疑問を呈し、富の再分配を強く訴えています。ニューヨーク市民の多数が民主党支持者である一方で、富裕層や経済界からは、これらの政策が経済活動に悪影響を及ぼすのではないかとの動揺が広がっています。

ウォーレン上院議員の主張とフェイバー氏の懸念

ウォーレン上院議員は番組内で、マムダニ氏の政策を擁護する形で次のように述べました。「問題は市民への負担です。住宅、食料、子育てなどの費用を支払えないために、ニューヨーク市から追い出される勤労者世帯がどれほどいるかご存知ですか?」と、市民の生活困窮を指摘。さらに、「マムダニ氏が強調するのは、『人々がニューヨーク市に住む余裕を持てるようにしたい』ということです。それによって活気が満ち、人々が『住みたい』と思える街になるのです」と、政策の目的を説明しました。

これに対し、フェイバー氏は「誰もそのことに異論はありません」としながらも、「しかし、そのために課税を強化するのですか? なぜそれが答えだと?」と、課税強化が唯一の解決策であるかについて疑問を呈しました。

激化する議論:「億万長者の空腹」と富裕層の「脅し」

フェイバー氏の問いかけに対し、ウォーレン上院議員は感情をあらわにし、「なんてこと! 億万長者たちのお腹が空くのを心配しているのですか?」と皮肉を込めて反論。この発言は、「富裕層が困窮するとでも思っているのか」という、富の偏在に対する強い批判が込められていました。

フェイバー氏は自身の意図を否定し、「私が懸念するのは彼らがニューヨーク市を離れ、別の街でお金を消費するということです」と、富裕層や企業の資本流出への懸念を表明。しかし、ウォーレン上院議員はこれに対しても、「彼ら(富裕層)はこれまで何度もそうやって“おどし”をかけてきたんです」と強く反論し、富裕層が経済的な脅威を利用して政策を左右しようとする姿勢に疑義を呈しました。

議論のまとめと今後の展望

この対談は、米国の経済格差、富裕層課税、そして都市の居住費問題という、現代社会が直面する重要な課題が凝縮されたものです。ゾーラン・マムダニ氏のような進歩的な政策を掲げる候補者が台頭する中、既存の経済界との間でどのような議論が繰り広げられ、それが今後の政策にどう影響するのか、ニューヨーク市長選挙のみならず、米国内外の政治・経済動向として引き続き注目されます。


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