【ワシントン=淵上隆悠】米国のトランプ大統領は7日、10年ごと行われている国勢調査について、不法滞在者を調査対象から外すよう所管する商務省に命じたと明らかにした。各州の連邦下院の議席数は人口に基づいて配分が見直される。不法滞在者は民主党の地盤が強い州に多い傾向があり、見直しを通じて選挙で共和党に有利な環境を作る狙いとみられる。
トランプ氏は、自身のSNSに「事実に基づいた高精度な国勢調査を行うよう商務省に指示した。不法に滞在している者は数には入れないことになる」と投稿した。現行制度は、憲法の規定などに基づき、各州の「全人口」を数えることになっている。
米メディアによると、トランプ氏の主張が反映されれば、全米で数百万人が調査対象から外れる見通しだ。不法移民が多く、民主党を支持する傾向が比較的強い州で議席配分が減る可能性があるという。
ただ、トランプ氏は第1次政権でも大統領令を出すなどして国勢調査の制度変更を試みたものの、法廷闘争に発展するなどして断念した。次回の国勢調査は2030年に予定されているが、曲折が予想される。