トランプ政権の半導体関税、韓国企業への影響と免除条件を解説

ドナルド・トランプ前米大統領が予告した「半導体関税」の具体的な輪郭が明らかになりつつあり、韓国の半導体業界はその動向を鋭意注視しています。米国政府が関税免除の条件として米国現地への投資を掲げているため、過度な心配は不要との見方がある一方で、予測不能なトランプ政策の不確実性が依然として残っているためです。特にサムスン電子やSKハイニックスといった主要企業は、その詳細な内容と影響を慎重に見極めています。

「米国工場投資」が関税免除の鍵に

トランプ大統領が半導体関税を約100%賦課すると発言した際、米国内で製造中、または確実に米国内での生産を約束した企業には適用しないと明言していました。しかし、外国企業が米国で生産した半導体のみが免除対象なのか、あるいは本国で生産し米国に輸出する物量までが無関税となるのか、具体的な基準は不明瞭なままでした。この曖昧さが、業界に大きな懸念をもたらしていました。

その具体的な解釈を明らかにしたのが、米商務省のラトニック長官です。彼は7日(現地時間)のFOXビジネスのインタビューで、「(トランプ)大統領の発言は、『あなたが米国に工場を建てている間は関税を課さない。しかし米国に工場を建てないなら100%の関税を課す』ということだった」と述べました。さらに、ラトニック長官は、「大統領の任期中に米国に工場を建てると約束し、それを商務部に申告した後、その建設過程について最初から最後まで監督を受ける場合、大統領は工場を建てる間は関税なしに半導体を輸入できるよう許容するということ」だと詳細に説明しました。

これは、米国現地の半導体製造工場への投資と、その履行が確認された場合、その企業が米国ではなく本国で生産し、米国に送る半導体も関税を免除するという意味合いが強いと解釈されています。この解釈により、これまで不明瞭だった関税免除の範囲が明確になり、業界の不確実性が一部解消される形となりました。

米テキサス州テイラー市に建設中のサムスン電子の先端半導体工場。トランプ政権の半導体関税免除の鍵となる米国工場投資の象徴。米テキサス州テイラー市に建設中のサムスン電子の先端半導体工場。トランプ政権の半導体関税免除の鍵となる米国工場投資の象徴。

サムスンとSKハイニックスの現状と展望

ラトニック長官の言及どおりであれば、サムスン電子とSKハイニックスは米国の半導体関税を回避できる可能性が高いとの観測が強まっています。両社ともに、米国内での大規模な半導体工場への投資を既に進めているためです。

具体的には、サムスン電子は米テキサス州テイラー市に半導体ファウンドリ(受託生産)工場を建設しており、2025年の稼働開始を目標としています。一方、SKハイニックスはインディアナ州ウェストラフィエットにメモリー半導体パッケージング工場を建設する計画で、こちらは2028年の稼働を目指しています。これらの大規模投資が、米国政府が掲げる「米国現地への投資」という関税免除条件に合致すると見られています。

ある業界関係者は、「半導体関税について過度に心配する必要はない」としながらも、「確定した内容ばかりではないため、油断せず冷静に見守っていく必要がある」と語っています。これは、トランプ氏の政策が常に予測不可能であること、そして細部の規定が今後変更される可能性も考慮している姿勢を示しています。

まとめ

トランプ政権が示唆する半導体関税は、米国現地での工場投資を条件に、本国からの輸出分も含めて関税を免除するという具体的な形を帯びてきました。この方針は、既に米国に大規模投資を行っているサムスン電子やSKハイニックスといった韓国の主要半導体企業にとっては、現状では大きなリスクではないとの見方を強めています。しかし、トランプ氏の今後の政策動向や国際情勢の変化によっては、再び状況が変動する可能性も否定できないため、業界は引き続き慎重な姿勢で注視を続けていくことでしょう。

参考文献